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ブーナッド
第二章

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「あれ着ないの?」
「そうしてお洋服だけなの」
「お祝いの時とかお祭りの時も」
「ソニアそうした服なの」
「だって寒そうだから」
 ソニアの返事は今もこうしたものだから。
「だからね」
「ブーナッド着ないの」
「ソニア似合いそうなのに」
「それでもなのね」
「だから寒いのは好きじゃないの」 
 あくまでこう言うソニアだった。
「こうした服でいいわ」
「何か愛想ないわね」
「お祝いとかお祭りの時もそうした服って」
「ブーナッドじゃなくて」
「そうした服なのは」
「別に着なくて地獄に落ちる訳でもなし」 
 だからとだ、ソニアは自分の言葉を変えなかった。
「何時でも暖かくよ」
「確かにそうあるべきだけれど」
「何かね」
「本当に愛想ないわね」
「厚着ばかりなのは」
「寒いよりましよ」
 ソニアの言葉は変わらない、しかし。
 ある春の日にだ、着るものを季節に合わせて少し減らしたソニアにだった。彼女の姉で顔立ちや
スタイルがよく似ている大学生のブルジットがこんなことを言って来た。
「今からブーナッド見に行かない?」
「お店に行って?」
「そう、私今から買いに行くつもりだけれど」
「そういえばお母さん姉さんにお金渡してたわね」
「そのお金よ」
 ブーナッドを買う為のというのだ。
「しかも私の分だけでなくね」
「私の分もなのね」
「貰ってるの、だからね」
「私もお店に行ってっていうのね」
「一着買う?どうするの?」
「私は別に」
 あまり乗り気でない顔でだ、ソニアは姉に返した。
「いいわ」
「いや、お金貰ったから」
「一着買えっていうのね」
「ソニアいつも愛想のない厚着でしょ」
 それは今でもというのだ。
「確かに寒くない様にするのは大事だけれど」
「晴れの服もなの」
「折角私に似て奇麗な顔してるから」
 何気に自分のことを褒めるのも忘れないブルジットだった。
「だからね」
「ブーナッド買えっていうのね」
「そうした晴れの服もね」
「何かブーナッドってね」
 ソニアもブーナッドがどういったものか知っている、それで言うのだった。
「生地が薄くて」
「着たくないっていうのね」
「だって寒いと」
 またこう言うのだった。
「どうしてもね」
「辛いからっていうのね」
「そう、だからね」
 まさにそれが理由だった。
「あの服もね」
「やれやれね、けれどね」
「けれど?」
「そこまで言うのなら教えてあげるわ」
 姉としてとだ、ブルジットは中学生の時の自分に生き写しだがファッションには無頓着な妹にこう言ったのだった。
「あの服のしっかりした着方ね」
「どうやるの?」
「まずはお店に行くわよ」
 そのブーナッドの売っている店にというのだ。
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