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ブーナッド
第一章

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                 ブーナッド
 ノルウェーのハルダンゲルに住むノニア=ミヘルセンは寒い自国の気候があまり好きではない、だからよく通っている中学校でもこう言う。
「寒いのがね」
「嫌っていうのね」
「我が国の」
「ええ、まあノルウェーだから」
 それでとだ、その薄い感じのブロンドのロングヘアを触りながら言うのだった。肌は透き通るまでに白く瞳の色はアイスブルーだ。唇は薄い形で色は薔薇色だ。背は一六〇位でありすらりとしている。
「寒いのはね」
「当然でしょ」
「そこはもう納得しないと」
 クラスメイト達はその彼女に口々に言う。
「寒いのはね」
「もう仕方ないから」
「ここノルウェーよ」
「北欧よ」
「北欧で寒くないとね」
 それこそとだ、ソニアも言う。
「北欧じゃないわね」
「ついでに言うと雪と氷」
「あとオーロラね」
「この三つは外せないでしょ」
「いいか悪いか別にして」
「それに寒くてもよ」
 クラスメイトの一人がソニアにこうも言った。
「お家の中は暖房があるでしょ」
「まあね」
 ソニアもそう言われると頷く。
「しっかりとね」
「あったかい飲みものも食べものもあるし」
「気候が寒くてもっていうのね」
「そうよ、お部屋のなかはあったかいわよ」
 しっかりと、というのだ。
「それに服も厚着出来るから」
「寒くてもなの」
「対応出来るでしょ、だからね」
「寒くてもなのね」
「ましてやソニアって」
 このクラスメイトはソニアの今の服装を見た、学校の制服を着てはいるが。
 脚にはカラータイツ、セーターも着ていてその下はもこもこした感じだ、厚着をしていることがまさに一目瞭然である。
「今も厚着じゃない」
「だって寒いの苦手だから」
 当然だという返事だった。
「そうしてるの」
「学校の中でも?」
「通学中は寒いでしょ」
「まあそれはね」
「冬だし」 
 その北欧の冬である、ソニアの好きでない。
「こうしてね」
「厚着なのね」
「寒いの好きじゃないしそもそも身体冷やしたらよくないでしょ」
「そのことは確かにね」
 その通りだとだ、クラスメイトも頷いて答える。
「その通りだけれど」
「寒がりが過ぎるっていうのね」
「そう、ソニアはね」
「厚着も過ぎて」
「そんなのじゃお祝いの時どうした服着てるのよ」
「どうしたのってこんなのよ」
 祝いごとの日もというのだ。
「いつもね」
「そうして厚着してるの」
「季節によって違いはあるけれど」
 それでもというのだ。
「基本こうした感じね」
「厚着なのね」
「そうよ」
「じゃあブーナッド着ないの?」
「あの服は?」
 クラスメイト達は一斉にだ、ソニアに尋ねた。
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