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キッズストリート
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第三章

「犯人の手掛かりが少ないね」
「いや、どうかな」
 しかし青い目の子供が行った。
「それは」
「多いって?」
「そうなの?」
「うん、娼婦がどんな仕事かよく知らないけれど」6
 これは子供だからだ。幾らお世辞にも品がいいとは言えないダウンタウン育ちでもだ。子供が娼婦の仕事の内容まで知っている筈もなかった。
「お客が必要らしいし」
「じゃあそのお客を調べる?」
「そうする?」
「そしてね」
 青い目の子供がさらに話す。
「斧と鋸だけれど」
「ああ、それだね」
 赤髪の子供がそれに反応した。
「貴重な証拠だよね」
「問題はその証拠が何処にあるかだね」
 黒髪の子供が言う。
「鋸と斧は」
「使う仕事はあるね」
 今言ったのは茶髪の子供だ。
「大工さんとかね。木を切る時ね」
「あっ、そうか」
「そうだよね」
「それは」
 他の子供達もそれを聞いてそれぞれ話す。
「じゃあ犯人は大工さんかな」
「それかな」
「いや、決め付けはできないね」
 今言ったのは緑の目の子供だ。
「ここはね」
「ううん、じゃあ僕達で調べる?」
「そうする?」
 自然とそんな話になった。
「それで犯人を見つけようか」
「そうしようか」
「まずはベーカー街に行こう」
 青い目の子供が言った。
「そうして皆で調べよう」
「よし、それじゃあ今から」
「そうして」
 こうしてだった。全員でそのベーカー街に向かう。やはり石畳の路に煉瓦の建物が並んでいる。子供達はその街中に来たのである。
 そしてまずは事件現場に来た。勿論今はもう死体なぞない。
 当然血やそういったものもない。事件があったことは微塵も窺えない。
 しかしだ。ここで緑の目の子供が周りを見ながら言った。
「後ろから首を絞めて殺してこの場でばらばらにした」
「あっという間にね」
「そうしたらしいね」
「鋸と斧でね」
 次にこの道具がまた言われた。
「すぐに切り裂いてこの場に散りばめた」
「首も手足も胴体も切って」
「ああ、それに」
 黒髪の子供がここで言う。
「額を斧で割ってたらしいね」
「額をねえ」
「そうしたんだ」
「恨みあったんだ」
 キーワードが一つ出て来た。
「被害者にね」
「そうか。被害者に恨みがあった」
「それじゃあ被害者の知り合いだよね」
「そうなるよね」
「しかもね」
 子供達はさらに話していく、次第に核心に近付くようにだ。

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