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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二五幕 「クロスボーン・アタック」
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アを展開した。
 一つ相手にとって予想外であったことは、そのバリアの総合出力。

 『あの』バリアにも定評のある最上重工がこの船の開発に僅かでも関わっていたことを、アニマス40は知る由もなかっただろう。設計図にも使用想定にも載っていなくとも、この船の開発に1から関わった人間だけは知っていた――唯一の戦闘方法を。

 ジェネレータから吐き出される莫大なエネルギーが力場固定用に本体に埋め込まれた固定BTに注ぎ込まれ、一角獣のような船首を中心に外部展開バリアが軋むような音を立てて展開されていく。それも、ただ展開されているだけではない。

 本来は大気圏の突入及び突破時に使用する保護機能でしかないバリアに、想定の30倍を上回る強烈なエネルギーが滞留する。保護機能の域を越え、斥力や放出エネルギーが防御から攻撃の概念に転じる。そのバリア強度は既に『風花百華』が展開するバリアに匹敵する。
 
 ドゥエンデ――アニマス40の放った銃弾は、その全てをバリアによって完全に消し炭にされたのだ。攻撃の瞬間に放たれた閃光は、爆発は爆発でも『バリアに込められたエネルギーの余剰分の爆発』であり、船体にはいまも傷一つついていない。

「流石は最上の技術というか、それにノッた英国開発部というか……ッ、こんな洒落たものをよくぞ――!!」

 バリアを全開にしたメアリ号はその下と左右からまるで翼のような極光を放出し、お伽話に登場する空飛ぶ船のように輝いている。そして船体の上方には――その全てのロマンチックを台無しにする代物が掲げられていた。

『す、すごい!エネルギーの放出経路をイジって光が帆の形になってますよ!!しかも帆のド真ん中には交差した骨と髑髏の顔!これ完全に海賊旗じゃないですか〜〜〜ッ!!!』
『じょ、女王様の名を冠する船にそんな縁起でもねぇ代物を乗せたのはどこのどいつだぁぁぁぁ〜〜〜〜〜ッ!!?』
「どこのどいつだろうが構いませんわ!!こういうお洒落は嫌いでなくてよッ!!」

 バリアを維持するには余剰エネルギーを抑える必要があるが、最上は余剰エネルギーを態と外に逃がすことでバリアの高出力が維持できると考えた。その結果誕生したのが、船首バリアの余剰分をメアリ号の船体に沿って後ろに放出するシステムだ。海賊旗も光の翼も、全てはそのシステムのちょっとした応用で生まれた物に過ぎない。

 だが、それでいいではないか。この不埒な襲撃者に一撃かませるのなら、むしろ海賊旗の方が縁起がいいくらいだ。
 そして、爆発的な加速に加えて銃弾を寄せ付けない最強の矛と化したクイーン・メアリ号はとうとう犯人を発見し、突撃を叩きこんだのである。
 
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