表から見た聖杯戦争
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こからかこの話を聞きつけて先生に直談判してこの場に加えてもらったというキワモノである。
「帝国警備保障の柏原忠通と申します。
どうかよろしくお願いします」
警備員としての紹介だが、その実態は自衛隊の非公式作戦部門。
要するに汚れ仕事を担当する責任者というやつで元三佐だそうな。
これらのメンバーを前に、私は口を開いた。
「では、聖杯戦争について話したいと思います」
表が知る情報ではなく、裏の、つまり魔術教会が抱える聖杯戦争の情報をここで提示する。
なお、ここの連中は既にその情報を知っている事が前提だったりするので多くは語らない。
「あくまでその情報が真実であるという前提なのですが、米国はこのカルト団体の儀式による大規模テロを容認できません。
同盟国がその対処に苦労するのであるのでしたら、日米安保条約の範囲内で支援をする用意があります」
アンジェラ書記官の怜悧な発言が議論の開始となる。
それに、若宮分析官が続いて発言する。
「時計塔でしたっけ?
英国に本拠を置く魔術協会は今回の聖杯戦争の発動を想定していませんでした。
慌てて関係者を我が国に送り込んでいますが、その殆どに監視をつけています。
もちろん、反米テログループが我が国に入り込んでいるという情報は英国情報部を通じてかの協会に伝わっているはずです。
アンジェラ書記官。
失礼ですが、米国はどこまで協会のロビー活動に耐えられますか?」
米国とて一枚岩ではない。
協会に味方する・協力する政府職員はいくらでもいるのだ。
それにアンジェラ書記官はあっさりとその内情を暴露する。
「軍内部、特に在日米軍については心配しなくていいでしょう。
ペンタゴンの方も大量破壊兵器がらみですから、意識は統一されていると思います。
問題は国務省とワシントンの赤絨毯の方々でして」
さらりと出身であるCIAの動向を省くあたりこの人プロである。
こっちがそれを気づいているのも分かった上で笑顔を隠そうともしない。
「あまり派手な活動をすると、『同盟国の主権内で議会の承認を得ていない非公式活動』と叩かれます。
日米関係の非常に大事な時期なので、事をあまり大きく荒立てたくはないというのが実情です」
この時期の日本は戦争が終わった中東に自衛隊を後方支援として派兵する事で国内が大いに揉めていた。
首相と大統領の個人的友情から派兵する方向に進みつつあるのに、それをご破産にはしたくはない。
村田警視が発言を求めた。
「中東の過激派組織が潜伏しているという情報ですが、間違いはないと思われます。
ですが、それ以上に他国情報機関もこの聖杯戦争に注目しています」
魔術師にとっては万能の願望機
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