表から見た聖杯戦争
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動を続けていた。
与党の長期政権下、復興とともに忘れ去られるはずだったこの組織に陽の光が当たったのが、冬木大災害である。
冬木市にもたらされた数百億の災害被害と、協会の内政干渉に腸が煮えくり返った日本政府は自前のオカルト組織を持つ必要性を痛感。
資金と人を入れて組織としての体裁を作り上げたのである。
神奈は神祇院の拡張の初期から関わっており、私みたいな若造でもオブザーバーとして振る舞える程度の地位を有している。
同時に、こんな新興占い師を優遇する程度の質しか持っていないという事の裏返しでもあるのだが。
ビルの会議室に入ると、あつまっていた人達の視線が私とアンジェラに注がれる。
「ようこそいらっしゃいました。神奈さん。
そちらの方は?」
声をかけたのは安倍雨月さん。
有名な陰陽師一族の末裔らしく、この神祇院の主であるおっさんである。
神主を表の職業にしており、京都の祭りに色々絡んでおり、私とは何度か顔を合わせていたりする。
昼行灯を地でいくが、姉弟子様の次に怒らせてはいけない人間である。
「米国大使館所属、アンジェラ・サリバン三等書記官と申します。
今回の件を日本政府の了解のもとで、米国に報告する役目を頂いております。
オブザーバーとしてよろしくお願いします」
流暢な日本語の挨拶に思わず拍手が出る。
挨拶は大事である。
「内調から来た、若宮友里恵分析官です。
会社勤めごくろうさまですが、よろしくおねがいしますね」
そのまま自己紹介タイムに突入。
なお、若宮さんがいった『会社』=カンパニーはCIAの隠語だったりする。
それが分からないのはこの中には居ない。
内調は今回の一件における調整を受け持っていると聞く。
警察側の動きと、魔術協会の内政干渉と、それに刺激される米国の介入をすりあわせてこのような場所を作った苦労人である。
内調より学校の教師をしていそうなきっちり感が漂うが、彼女の調整能力は群を抜いているとレポートに書かれていた。
「警察庁外事情報部の村田浩一郎警視です。
主に情報関連の提供になると思いますが、よろしくお願いします」
バリバリの若手キャリアの登場で、眼鏡が更に知的と怜悧な印象を与える。
そもそも、今回のこの連絡会議の目的は、反米テロ組織が日本に入って冬木に入るのを阻止、または捕まえることにある。
実質的な指揮はここがとることになるだろう。
「えらく若い嬢ちゃんがやってきたな。
冬木新都署の咲村二郎警部だ。
お偉方の面々相手に居ていいのか悩むがよろしく頼むわ」
見るからにベテランの刑事で、実際冬木警察の現場組のドンらしい。
冬木の迷宮入りになっている多くの殺人事件の捜査に関与し、ど
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