事の始まり
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「聖杯戦争?」
私の言葉に、神奈水樹姉弟子様は投げなりに説明する。
オカルト系の世界的互助会組織魔術協会。
そこが主導し、日本で行われた魔術儀式の失敗談に私の顔が見る見る暗くなる。
「まさか、それに参加しろと?」
私のジト声を感じたのかドラゴンのぽちがポケットから這い出る。
私の剣呑な声に姉弟子様は手を振りながらあっさりとそれを否定した。
「馬鹿を言わないでちょうだい。
第二魔法体験者の封印指定確定の妹弟子をそんな危ない所に近づけてたまりますか」
そう。
私は運が悪いことに、ちょっと異世界帰りの女子高生だったりする。
ついでに色々な力やら何やらを得たおかげて、この世界で身バレしたら色々とまずい事になる。
なお、亡くなった私の師匠がそっちの世界の出身だというのは、この異世界旅行の果てに知ったことである。
「うちの顧客に冬木市を地盤にする先生が居るのよ。
で、冬木大災害を師匠の占いで難を逃れたらしくて、こっちに情報を回してくれているの。
もちろん、魔術の事なんてその人は知らないんだけど、その結果どうなっていると思う?」
私や姉弟子様が師と仰ぐ神奈世羅は有名な占い師だった。
魔術協会との縁もこの占いによって繋がっているが、魔術というには歴史が無く、オカルトと茶化すには精度があり過ぎた私達の一門は、中立的かつ無害な家としてこの国に根ざしている。
「もったいぶらずに教えて下さいよ。
私、そのころはまだ小学生だったんですから」
私の声に師匠が何かを投げてそれを空中で受け取る。
受け取ったのは、私の高校の世界史の教科書だった。
「冬木大災害。正確には第四次聖杯戦争が勃発したのが95年。
ちなみに、第四次聖杯戦争の参加者の一人は、東海岸で航空機撃墜のテロ容疑がかかっているとか。
その先生、警察族なんだけど、その時米国が執拗に冬木大災害の資料を欲しがっていたのを不思議がって私の方に話がやってきたという訳。
で、9.11。
世界は非対称との戦争に突入した」
うわ。
何かすごく嫌な予感がするのですが。
「協会は全力でそれを隠蔽した。
神秘は秘蔵されるべきだからね。
だから彼らは墓穴を掘った。
やり過ぎちゃったのよ。
F-15が墜落するような騒動の後で発生した大災害。
超大国が『大量破壊兵器を用いたテロ』と断定して当然でしょ?」
頬に汗が浮かぶのが分かる。
熱いわけではない。悪寒が走るのだから。
「科学の守護者。
冷戦の勝利者して、世界の超大国アメリカ合衆国。
まあ、協会はそっちにも手を打ったけど、納得してないという訳。
だってねぇ……」
姉弟子様はテレビをつける。
CN
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