第3章 リーザス陥落
第79話 生気抱擁
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めたのだから。
「……むり、した。……な。まじんが、あいて、とはいえ……また……っ。まだ、まだ たりなかった、か……」
ユーリは、志津香の方を振り向いて、何処か笑みを浮かべていた。
だけど、志津香は安心できなかった。その顔から、まるで生気が抜け落ちていくかの様に、青白くなっていったのだから。
「ゆ、ゆぅ! しっかり、しっかりして……っ」
身体が思う様に動けない事に苛立ちを隠せられない。
自分を庇い、また ユーリが傷つこうとしたのだから。マリアに言った様に、志津香は自分が赦せられなかった。だけど、今は嘆いている暇はない。一刻も早く仲間達の所に戻らないといけないから。
自軍には、少数であるが、治癒術士はいるのだ。彼女達の所にユーリを連れて行かなければならないから。
「しづ、か。これ、を……」
ユーリが、取り出したのは 竜角惨、そして元気の薬、だった。
「もっと、もってくればよかったが……、な。ぼうけんしゃ、しっかくだ……」
「ば、ばかっっ!! そんなの、そんなの自分に使いなさいよっっ! わ、私は大丈夫だから、ゆぅ、ゆぅがっ!」
志津香は、アイテムを受け取るのを拒否し、自分に使え、と催促をするが……、ユーリは首振った。
「これは、ちがう。……オレの、じびょう……、みたいな、もの。だ。だから、なおせ、ない。……じぶんの、ちからで なおすしか……ないんだ。こんかい、ばかりは――むり、かも、な」
志津香は、それを訊いた時 かなみから教えてもらった時の事を思い出していた。
それは、初めて魔人と邂逅した時の事。……相対した時の事。
魔人サテラにユーリの友人が殺されかけていた時に、ユーリが救った。……そして、別の場所で、ユーリはサテラと。……魔人と、その使徒であるガーディアンと戦ったのだ。それも、単独で。そして、かなみが駆けつけた時、ユーリは倒れていた。まるで、死んでしまっているかの様だった。
かなみとて、状態を見る事くらいは出来る。外傷は無いのに、只事ではない、と言う事が。息もしてなかったから、かなみは取り乱してしまったのだ。
「しづか……、だから おまえが つかえ。……そし、て 、 まだ、あいつが、いないとも、かぎらない……、だ、から おれ、を おい、て ここから……にげ……ろ………」
ユーリはそう言ったと同時に、事切れたかの様に倒れた。
最後の瞬間、手に持った薬を、志津香に強引に持たせて。
「ゆ、ゆぅっ!!!」
志津香は、半狂乱になりかねない状態だった。冷静さを保つ事など出来ずに、ユーリの状態を直ぐに確認した、が、息はしてなかった。そして、――心臓も 動いてなかったの
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