第3章 リーザス陥落
第79話 生気抱擁
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りも遥かに高く、一度はアイゼルの術中から逃れる事さえ出来た、更に アイゼルから離れていたのにも関わらず、志津香にも影響を及ぼす程の広範囲であり、魔法密度が有り得ない程濃かった術。
ユーリの《煉獄》は それすら切り裂いた。かつて、ハンティの雷速の魔法を斬った様に、最も凶悪とされている最上級攻撃魔法 黒色破壊光線を斬り裂いた様に。
『……アイゼル。成る程……、お前と言う者が、見えた』
「な、なに……?」
アイゼルは動揺を隠せられてない。ただただ、いつも通りの佇まいとはかけ離れている程だった。
「い、いったい なんだって言うの……?」
志津香も、突然のアイゼルの様子に驚いていた。
確かにユーリの剣技で魔法を斬った事に驚くのは判る。……だが、あの無敵結界を斬り裂いた訳ではない。ユーリの力は未知数だと言っても、如何に『次は斬る』と言ってのけたとしても、ハッタリの可能性だってある。……まだ、魔人の無敵結界を看破していない以上、圧倒的に有利なのは、魔人アイゼルの方なのは間違いないのだから。
「………」
ユーリは、ただただ 何も言わずに、アイゼルを見据えていた。
何が起きているのか、判っているかの様に……。
『魔の者であるお前が畏れる、とすれば それ以上の者だと言えるだろう……。今、対立をしている魔の者、とは思えない。確かに、力の差、と言う物は絶対なのだから、な。……つまりは、魔の王』
「………ッ」
その刹那、アイゼルは、突然脇目も振らずに駆け出した。
人間相手だというのにも関わらず、心の底ではまだ見下していた筈の人間に、背を向けて全力で駆け出したのだ。
「っ……??」
志津香は、アイゼルが逃げ出した意味が判らなかった。
構図を見れば、ユーリに威圧されて、怖気付いた、と言えるだろう。だが、直前までのやり取りを見て、戦闘を見て、まだ 序盤も序盤だった。なのに……何故、逃げると言うのだろうか?
「……良かった、逃げてくれた……か。そろそろ、げんかい、みたい、だったから……」
そんな時だ
ユーリの声が聞こえたのは。
集中していた故に、周囲の音全て一切遮断していた志津香だったが、その声だけはダイレクトに聞こえてきた。
「ゆぅ……」
志津香は、傷ついた身体を引きずり、ユーリの元へと向かった。ユーリが来た事での安心感、そして少しの休息もあり、先程よりも動ける状態になったのは僥倖だった。
だが、ユーリは 志津香が到着した所で、手に持っていた剣をかしゃり、と落とすと、ゆっくりと、腰を落とした。
「ゆ、ゆぅっ!?」
志津香の眼には、倒れた様に見えた。ゆっくり、だとは言え 剣を落として、身体を沈
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