第3章 リーザス陥落
第79話 生気抱擁
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す事になる為、即効性があるのだ。
「ぐっ、うっ……!!」
志津香は、痛む身体にムチを打つと、ユーリの身体を引きずる様に引っ張り、あの小屋へと歩いた。一歩一歩、確実に。……敵に見つからない様に願いながら。
その願いは届いたのだろうか。ユーリも自分も、小屋の中に避難する事が出来た。
ただ、志津香はユーリを少しでも軽くさせる為、剣や装備を一旦外して、運んでいるから、まだ戻らなければならない。そのままにしておくと、敵に場所を悟られるかもしれないから。
可能性は少しでも少なくする方が良いから、痛む身体に再びムチを打ち、再び往復をした。
全て、終わったのがその約1時間後。
志津香は、ユーリを小屋に備え付けられていた簡易ベッドに横たわらせ、安静にさせる事が出来た。
――これは奇跡、だと言えるだろう。その間 誰にも邪魔されず、見つかる事が無かったのは。
だが、まだ安心は出来ない。そして、しなければならない事はある。
ユーリは、何度も自分を助けてくれたんだ。
『これから死ぬヤツに名乗る名は無ぇ!!!!』
いつだって、傍に来てくれた。
『しづか……よかった、無事……だったんだな、志津香。……本当に』
抱きしめてくれた。
その優しさに、何度だって救われた。
「今度は、私の番。――ゆぅの事は、必ず助ける、から」
志津香は、身に纏っていた衣類を全て脱いだ。
生気とは生きとし生けるもの全てが纏っている生命のエネルギー。それを与える為に、抱擁をする。……その上では衣類は邪魔でしかないだろう。
これは、直感的に志津香が悟った事だった。
薄地の毛布を羽織ると、横たわるユーリの身体を包み込む様に、自分の身体で温める様に、ユーリの身体を包み込んだ。
ゆっくりと、ゆっくり、と――。
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