第四章
[8]前話
「それこそね」
「だったらよ」
「もうここは」
「覚悟決めてね」
そしてというのだ。
「行くしかないわ」
「後は雪の中を歩いて帰る」
「そうしましょう、ただもう暗いから」
部活の後で外は真っ暗だ、冬は日が落ちるのも早い。
「待ち合わせしましょう」
「お互いに渡した後で」
「その後でね」
「それじゃあね」
「渡したらお互いに校門のところで」
学校の正門でというのだ。
「待ち合わせしましょう」
「ええ、それじゃあね」
「それから一緒に帰りましょう」
「大雪でしかも暗いから」
この二つの条件が揃っているからというのだ。
「一緒にね」
「ええ、帰りましょう」
こう話してだった、そのうえで。
二人はそれぞれの交際相手のところに向かった、そしてだった。
暫く経ってだ、雪に覆われた校門のところにそれぞれ傘をさしてほぼ同時に来てだった。そのうえでだった。
まずは朋美からだ、由美子に言った。傘の下のその顔を見て。
「その顔を見たらね」
「朋美もね」
由美子も彼女の顔を見て言う。
「喜んでもらえたみたいね」
「食べてはもらってないけれどね、まだ」
「私もよ」
このことはお互い共だった。
「まだだけれど」
「渡したらね」
「喜んでくれたわ」
その手作りのチョコを差し出すと、というのだ。
「とてもね」
「そうよね、だから私もね」
「笑顔なのね」
「由美子にしてもね」
朋美も笑いながら言う。
「そうよね」
「本当にね、じゃあね」
「ええ、帰りましょう」
「チョコの感想はお家に帰ってから電話で聞くとして」
相手にかけてだ、言うまでもなく。
「まずはね」
「お家に帰らないとね」
「もっと積もるから」
今もかなり積もっているがだ。
「すぐに帰りましょう」
「寒いしね」
「ええ、コート着ててもね」
これも二人共だ、登校の時から着ているがそれを制服の上から着て手袋をして首にはマフラーを巻いていてもである。
「くるからね」
「もう帰りましょう」
「それがいいわね」
二人で話してだ、そしてだった。
一緒に学校を去った、二人のバレンタインデーはハッピーエンドに終わった。白い雪に覆われたこの日はチョコーレートの味がした。その後のそれぞれの交際相手からの返事は彼女達にとってこれ以上はないまでに素晴らしいものだった。
ホワイト=バレンタイン 完
2016・1・26
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