交節・紅と桜、蠍と斧
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
ぶち抜いた。
「! ……ぁぁぁあああああ!?」
その貫撃はアマリに着弾し、僅かばかりの硬直時間のあと、紅蓮なる謎の“追撃”を巻き起こす。
視界が洗濯機にぶち込まれたかのように回転し、アマリは頭から地面に激突した。
予想を軽く超える衝撃に思わず【ディオ・モルティーギ】から手を離してしまい、宙を舞う結果を生み出してしまった様だ。
「……! でぃーちゃんが……」
「はい、駄目ですよ?」
「あ」
当然か、自分のもう一人の相棒たる武器に手を伸ばしたアマリの視界を遮る、一人の赤い少女の姿。
思いのほかプロポーションが良く、それは常日頃から己の体型にコンプレックスを持っているアマリに取って、忌むべき対象であった。
が……この状況で、そういった私怨目的まで頭を回す余裕などない。
「はいや!」
「あっ……」
顔面目掛けて突き出された槍部分を何とか避けるも、続くフレーム部分での殴打で横に転がり、
「っと?」
「う、ぐっ……!」
振り下ろされる斧刃を躱せば槍刃での刺突が襲い来る。
スコーピオンに気を取られれば腕での殴打や脚刀が命中し、身体全体を見ていてはフェイントを混ぜられ対応がとても間に合わない。
「むうぅ……」
此処まで来てもアマリの取る行動は……自分の真骨頂たる『突撃』ただ一択のみだった。
此処まで来て尚……彼女からは狂気が失せる事がなかった。
度重なるスコーピオンの斬撃を持ち前のスキルによる強引な耐久性で持ちこたえ……耐えて生まれた瞬間的な間隙を見逃さない。
「あっはぁ!」
「おや……」
体術スキル基本技【閃打】による、赤の光芒を引く正拳突き。
胸部を捉えるその軌道は、速度も相まって今更避けられる打撃などではない。
「おっとと?」
ない、筈だった。
少女はまたも驚くべき事に……スコーピオンの柄部分を打ち当てながら空中で前転し、確り握ったその構えから、柄尻のピックをアマリの脳天へ突き刺したのだ。
油断していないからこそ出来ただろうとはいえ、離れ業にも程がある。
「フフフ……!」
次の膝蹴りは両腕で防ぐ事が出来たが、紅色の少女は動じることなく、続いて滑らかに無駄なく構えへ移行する。
それは、意趣返しなのかアマリの下した選択と同じ【閃打】。
自分のモノを余裕で超える速度にもかかわらず、アマリは何とか首を傾けて回避して見せた。
「でぃーちゃん、今行くです」
そして生まれる、ポストモーションによる一瞬の硬直。
それはたかが一瞬―――されど一瞬。
短い時間をフルに活かし、攻
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ