交節・紅と桜、蠍と斧
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現実ではありえない重量の物が、同じくあり得ない速度で移動するからか、空気が破裂した様なサウンドが響いた。
それも、少女は驚く事無く『斧を足場に』軽く跳んで回避……と同時にアマリへ向かい、宙をかっ飛んでくる。
「しいっ!!」
「むぐっ……!?」
推進力を活かした飛び蹴りが命中し、アマリは大きく仰け反った。
それでも武器の重さゆえに吹き飛ぶ事は無く、その場で次を構えられる…………
「はいっと!」
息つく暇も無く弾丸の如き空中レフトソバット―――から一回転して右脚の踵落とし。
「っ!」
漸く構え、柄だけでも当てると振り抜けば……なんと、柄をつかんで『鉄棒』よろしく扱い、更に逆さまの体勢で空へ飛んでから、薙刀もかくやのオーバーヘッドを繰り出す。
間、髪置かずに左の爪先でアマリの顔面を蹴りぬき、首元へ強烈な右フロントキックを御見舞い。
最後にその反動を使って後方へ飛び、阻害もされず軽々斧の範囲外へ着地する。
タイミングよくリズムの乗って、ピック状になった柄尻で地面を叩くという、余計な動作までするオマケ付きだった。
「フフフ……?」
アマリのHP最大値はかなり高い筈なのだが、今の蹴りでHPは二割弱も減っている。
即ち目の前の赤い少女の筋力値、及び空中での制動力が、人並はずれている証拠に他ならないだろう。
それでも開いた感激は一呼吸……すぐさま、“殺し合い” は再開された。
「っはぁ!!」
笑い声か叫び声か最早判別の付かない声を張り上げて、アマリは無謀にも正面から突貫していく。
壁に、床に、所構わず叩きつけられる大斧から、引っ切り無しに衝撃波が幾度も爆ぜ飛ぶ。
「っはぁ?」
少女はというと別段ペースを崩す事無く、甘ったるい声でアマリの発声を真似しながら、ウサギよろしくピョンピョン飛び跳ねては撹乱し、避け切れない分の衝撃波を『赤い何か』で次々防御しきった。
「……あっはぁぁっ!!」
獣としか形容が出来ない叫び声を推力と変え、連続攻撃系統の両手斧のソードスキルが、数瞬の溜めから驚異的なまでの力を持って発火。
狭範囲に凝縮された衝撃波が波涛となって荒れ狂い、少女を呑み込まんと襲いかかっていく。
真正面に捉える少女は、クルクルとスコーピオンを手の内で回して遊び……脈絡なく強く握ればスコーピオンの刀身が、『エボニーとクリムゾン』の二色二重螺旋に染まる。
「はぁあああっ!」
満面の笑みから声高に挙げられる一声を皮切りとし、真っ赤な光線と化して少女は衝撃波の中央に突撃。
果たして―――――拍子抜けするぐらい易々と、紙細工よろしく
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