交節・紅と桜、蠍と斧
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……そんな格上相手にもかかわらず―――桃色髪の少女は、正面から突っ込んでいくのみだった。
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――――それは遡る事、約数分前。
明らかに人の手で作られた、薄暗い遺跡の中を一人の少女が歩き回っていた。
膝まで伸びる髪は桃色で、有り得ない色にもかかわらず、染色された様な不自然さが無い。
身長も低く、150p中半代あればいい方だろう。
更にパステルカラーの中に配色された白の目立つ、如何にも女の子然とした服は遺跡探索にはまず向かないと見える。
まあ……尤もこの世界はゲーム。
どんな格好でで歩こうとも、擦り傷や虫刺され程度ならば起き得ないし、汚れもエフェクトとしてすぐに消えてしまう。
故に、どんな格好だろうと防御力を確保してさえいれば、何の問題も無い。
しかしそんな現状探索する土地と食い違えど、そんなフワフワぽや〜っとした彼女なのに…………それらに釣り合わぬ円盤状の紫刃を持ったどデカイ『両手斧』が、思わず目を引いてしまうだろう。
「はぁ〜……」
彼女の名前はアマリ。
このデスゲーム《ソードアート・オンライン》の中で、舞台である浮遊城・アインクラッドを攻略しつつ上層へと直進める、トップランナーの一人。
加えてまんま『攻略組』と呼ばれるプレイヤー達の中でも1、2を争うパワーファイターで、容姿の可憐さと攻撃方の豪快さから『惨殺天使』と物騒な二つ名でも呼ばれる人物だ。
……しかし、彼女が真に厄介なのはその攻撃性ではなく、本人の性格的思考にある。
普段フォラスという名の少年プレイヤーと組んで居る時は、彼の擁護や執り成しのお陰でそこまで露見する事はない――――だが、一人となった時に彼女へ近寄る者はめったに居ない。
なぜなら彼女の脳内に置いて、殺人に対する禁忌や忌避は全くと言って良い程『存在しせず』、そのうえに彼女の世界は、フォラス・姉・フォラスの友人―――“だけ”で構成されている。
それ以外の人間はアマリにとって、動き回る『物』でしかない。
もし彼女が殺人を躊躇ったとしたら、それはフォラスに嫌われたくないから、フォラスを悲しませたくないから……そういう理由が『一番』にあがり、裏を返せば殺人自体は別段疎んじていない事に他ならない。
彼女を返上な人間が見れば、頭のネジが“悪い方向へ”数本ぶっ飛んでいるとしか思えない。
アマリはそう思わざるを得ない程に壊れ、人としては消して踏み入れてはいけない域まで達するぐらい、ただ狂っているのだ。
攻撃など以ての外、触れるだけの行いでも殺傷へつながる―――それほどまでに。
「うぅ、フォラス君とはぐれちゃったです。
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