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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第218話 スリュムへイムの戦い
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のHPゲージは殆ど見ていない。キリトはただただ、スキルコネクトをする為に、集中を続けていた。何度、連携させたのか判らない。ただ、先を行くのはリュウキの姿だった。
それは当然の成り行きであり、拳術とソードスキルとでは、発生時間が全く違う。殆ど一瞬で終わるのが拳術だから。だが、それでも背中を追い続けているキリトにとっては、先を示されている様に見えるのだ。結局 キリトが今出来る限界の5回。リュウキは、9回程繋げた所で、長いスキル
遅延
(
ディレイ
)
に固まってしまった。
もう、相手は倒せただろう、と希望的観測を見たキリトだったが、……やはり 甘いものではなかった。 確かに、最初に比べたら大幅に削る事が出来ている。4分の3程残っていたHPゲージが、今は数ドットなのだから。
だが、残っているのは事実だった。
その巨大な角を生やした金牛がニヤリと獰猛に笑った。
まるで、『それで終わりか?』と言ってきている様にだ。少なからず挑発された様に感じたキリト、いや 他の全員だったが 固められている以上、何も出来ない。
その凶暴な斧が迫ってきた刹那だった。
「い――やあァァァァ!!」
「て――やあァァァァ!!」
と言う気勢が鋭く響いたのだ。
キリトの右横を、リュウキの左横を、青い疾風と白い疾風が駆け抜けた。
其々の手元には、レイピアが備えられており、まさに鏡合わせの様な連携で、目にも止まらぬ速度の5連撃、出が最速の高位細剣技《ニュートロン》が 金牛の全身を、いや 弱点と言われていた場所を穿った。
今まさに斧を振り下ろそう、としていた金牛だったが……、HPゲージが完全に消失すると、邪神ミノタウロスの動きがぴたり、と停止した。
その彼方で、瞑想の回復スキルを使用し、HPを全快させた黒ミノタウロスが、勝ち誇ったかの様に、大斧を持ち、迫ろうとしていたのだが……。
ばりんっ と言う硬質のサウンドエフェクトと共に、相方である金ミノタウロスが、その巨体を四方へと爆散させた。
――――え?
と明らかに動揺しているかの様な 豊富な表情を見せる黒ミノタウロスだったが、そこに硬直の解けた9人が一斉に視線を向ける。
「……おーーし、牛野郎。そこで正座!」
そこから先は最早リンチ、だと言えるだろう。
物理耐性がからっきしな、黒ミノに抗う事も、一矢報いる事も出来ず、金ミノを仕留めた時の 2〜3倍速程の早さで、屠ったのだった。
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