暁 〜小説投稿サイト〜
RSリベリオン・セイヴァ―
第二十話「銀の福音」
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が呟いた。
「さー! さー! 箒んちゃん? さっそくこの紅椿に乗って? 乗って?」
「は、はい!」
笑顔になった箒は、早速この紅椿という第四世代機に乗り込んだ。
赤椿は、従来の量産型とは違って抜群の性能を発揮した。空中を第三世代機の倍の機動力で加速し、そして、束が用意した巡航ミサイルの群を赤椿が持つ二刀の刀、雨月と空裂で次々に撃ち落していく。
「ヤバい性能だな?」
「ああ、ありゃ敵に回したら厄介だぞ?」
清二と太智はひそひそと小声で赤椿へ指をさした。
「アイツ……」
しかし一夏は、空で満足げに微笑んでいる箒に対し、険しい顔を向けた。
――そんなに、「強い力」が欲しかったのかよ……?
一夏は、常に強い力を半ば嫌っている。それは、使い様によっては大勢の命を救う鍵となるも、逆に大勢の人間を傷つけ、殺め、取り返しのつかない結果にもつながる。
そして、今箒が強い力を手にして満足げに笑みを浮かべ、自分を輝かせていることについて、一夏は後者の行く末になりうると捉えている。強い力を使う時、持ち主は臆病で躊躇うぐらいが丁度いいのだ……
「この紅椿なら……一夏っ!」
「っ……!」
力を得て、輝く自分を見てくれと箒は地上を見上げる一夏へ振り向くも、目があった途端に一夏は視線を逸らしてしまった……
「一夏……?」
そんな彼の態度に、箒は胸を熱くさせた。
「ん……?」
そのとき、こちらへジャージ姿の真耶先生が胸元を揺らしながら血相をかいて走ってきた。
「大変です! 織斑先生〜!!」
真耶は、タブレットを千冬に手渡す。
タブレットから表示されるホログラム式のメール文を読み上げる。そして、彼女は眉間にシワを寄せた。
「特命任務レベルA……現時刻より対策を始められたし」
そして、彼女は俺たちへ振り向く。
「テスト稼働は中止だ! お前たちにやってもらいたいことがある」
後に真耶は、千冬の隣にいた束を知って仰天した。

千冬は、一旦俺たちを集めさせると、一旦旅館へと連れ戻した。何やら緊急事態の様子で他の教員たちがドタバタしている。
気が付いたころには、旅館の一室が巨大な司令室に早変わりしており、薄暗い部屋で千冬はブリーフィングのモニターを俺たちに見せた。
「……今から二時間前、ハワイ沖で試験稼働中であったアメリカ、イスラエルが共同開発に当たった第三世代のISシルバリオ・ゴスペル、通称「福音」が突如暴走を起こした」
――福音……?
俺は、その名に聞き覚えがあった。蒼真が愚痴っていた台詞の中にその単語が入っていたからだ。
『……ったく! イスラエルとアメリカがISを共同開発だぁ? アメリカはともかく、なーんで女尊男卑に猛反対していたイスラエルが加わってんだよ?』
あのとき、蒼真の言っていた愚痴を俺は回想した。
「その後、衛星で
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ