第一部
第二章 〜幽州戦記〜
九 〜軍師たち〜
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丁原は体調が思わしくなく、そのまま臥せっている。
それ以外の全員が、董卓の天幕へと集まった。
「今後の方針についてだけど。ボクと郭嘉、程立で話し合った結果よ」
そう言って、賈駆は卓上に竹簡を広げる。
この付近の地図のようだ。
ふむ、なかなかに精密なもののようだな。
「月が率いる官軍二万に、丁原軍が七千。そして、土方軍だけど……」
こちらを見た賈駆に、愛紗と星が、頷き返した。
「はい。予定ではもう一日、調練に費やす予定でしたが。思いの外捗り、今日で一通りの選抜が終わりました」
「もともとの兵と併せ、都合六千。無論、さらなる調練は必要ですが、戦力として目処は立った、そう言えますぞ」
「併せて三万三千ですねー。糧秣を考えると、妥当な数だと思います」
「それに、将の頭数も十分です。一気に戦略上の要衝を狙うべき、そう思います」
稟も風も、言葉に自信が滲み出ている。
賈駆とのやりとり、しっかりと生きたようだな。
「それで、どこを狙う?」
「ええ、候補はいくつかあるわ。一つがここ、冀州の広宗。敵総大将の張角が立てこもっているって噂よ」
「現在は、盧植将軍が包囲を目指しているとか。従って、広宗を狙うのなら、共同作戦となるでしょう」
「他には?」
「ちょっと遠くなってしまいますけど、豫州にいる波才軍でしょうねー。黄巾党の中でも、最大の戦闘力を持っているみたいです」
「そちらは皇甫嵩将軍と……曹操殿が、対峙しておられるとか」
曹操の名を口にするとき、やや躊躇いがあったな。
無理もない。
私という存在がなければ、稟は曹操の麾下として智を振るっていたに相違ないのだからな。
「それから、南陽の張曼成。もっと遠くなるわね。ここは、孫堅が中心となって攻め立てている筈よ」
曹操に孫堅、皇甫嵩、朱儁……そして、ここにいる董卓。
名のある諸侯や将軍は、ほぼ出揃ったか。
……いや、まだいるな。
「冀州と言えば、袁紹が拠点にしているのではないか?」
「ああ、あのバカの事?」
賈駆は、明らかに蔑むような口調だ。
「詠ちゃん。ここにいないからって、失礼だよ?」
「だって、仕方ないじゃない。名門の出、ってのを鼻にかけるばかりで、何も出来ない奴だもの」
「そうなのか、風?」
「はいー、賈駆さんの言う通りですね。袁家と言えば、四代に渡って三公を輩出した程の名家なのですが」
「……同じく袁一族の袁術共々、お世辞にも優秀、とは言い難いですね」
「郭嘉。はっきり言った方がいいわよ、どっちも超のつくバカだって」
もともとキツい性格なのやも知れぬが、賈駆の評価はかなり手厳しい。
「それにね、袁紹は冀州じゃなく、洛陽にいるわよ。袁術もね」
「む? な
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