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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十話 ハイネセン占領
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来る筈だ。

トリューニヒトが決断したらしいが原作とはかなり人物が違うらしいな。まあレベロとホアンが協力している。それに帝国との交渉においてもかなり強かさを発揮していた。ただの扇動政治家ではないと思っていたが降伏を決断したとなると儀礼ではなくじっくりと話をしてみたい相手だ。

ハイネセン攻略の後は講和交渉だ。ようやく戦争が終わる、戦争が無くなる。いや、三十年後、自由惑星同盟を併合時にもう一度遠征が必要になるかもしれない。しかし国政改革をしっかりと行っておけば併合を不満には思っても不安を感じる事は少ない筈だ。そうなれば抵抗は軽微なものになるし遠征も大規模なものにはならないだろう。



帝国暦 490年 4月 26日   オーディン  新無憂宮  クラウス・フォン・リヒテンラーデ



「国債か、かなりのものだ」
「はい」
「私が財務尚書を務めた頃も多少は気になっていたが……、十二兆帝国マルクか……。随分と増えたものだ」
「統計を見ると恐ろしい勢いで増えていました。止まったのは最近の事です」
よくもここまで借金をしたものだ。財務尚書ゲルラッハ子爵は神妙な表情をしているが内心では呆れているだろう。国政責任者である私の前でなければ皮肉の一つ、罵声の一つも出ているに違いない。

「反乱軍のものも有ると聞いたが?」
「はい、こちらも十五兆ディナールほど有ります」
溜息が出た。帝国も同盟も借金をしながら見境なく戦争をしていたか……。
「このまま戦争を続けていれば借金で国が破産し人口減少で崩壊したであろうな、帝国も反乱軍も……。危ういところであった」
ゲルラッハ子爵も頷いている。今更ながらだがヴァレンシュタインが正しかったことが分かる。門閥貴族を排除し宇宙を統一する、それしか帝国が生き残る道は無かった。ただ誰もがその道を正面から見据えなかった、目を逸らした……。

「閣下、株の問題も有ります」
「株か、それも有ったな」
帝国、フェザーン、反乱軍、かなりの企業の株をフェザーン自治領主府は保持していた。しかもダミー会社を使用して隠密に取得していた。何のためかは言うまでもないだろう、あのおぞましい遺物共が!

「如何しますか?」
「……」
ゲルラッハ子爵が此方を窺う様に見ている。はて……。
「現状では帝国政府が株を所持しています。つまり国営企業という事になりますが……」
「問題が有るのか?」
私が問うとゲルラッハ子爵が頷いた。

「多少経営が傾いても政府が何とかしてくれると思いかねません。それは企業の健全性を失うでしょう。この件で帝国は苦い経験をしております」
「経験?」
「門閥貴族です」
「なるほど」

そういう事か、ゲルラッハ子爵が何を危惧しているのか、ようやく分かった。
「つまり、このままで
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