月下に咲く薔薇 25.
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ロイドが、ミヅキの返答を待っている。
アイムも相当食えない男だが、ロイドの扱いにくさはまた別なところにある。世慣れたミシェルでも、彼には振り回されがちだ。
それを回避する為によく逃げ出していたが、ロイドの場合、ZEXISが説明を避けたがっているという印象を植え付けても別の誰かを捕まえ結局同じ説明を求めた。
良く言えば、探求の鬼。悪く言えば、明日の敵である事をわきまえない子供。ブリタニア貴族とは思えないくだけた物言いで人に絡みついた後、核心を突く質問に誘導し少なからずZEXISを凍り付かせる。
他の貴族騎士ならば、ゼロを敵視し黒の騎士団を格下の武装集団と侮るのが常だ。基本的にこちらの話は聞くに値しないと考えている分、戦場で相まみえるああいった連中の方が操縦のしやすさでは遙かに上だ。
ミヅキからは、場のさばきにくさを感じた。彼に対する苦手意識が外に漏れ出てしまっている。
「別に、大した用事じゃないのよ」グランナイツの最年長として、さりげない仕種である方向を指し示す。「監視してたのなら、知ってるんでしょ? 私達が昨日、ここに車を置いたままにしてるのを。あれ、全部借り物なのよ。ついでに、買い物を引き取るつもりだっただけ」
「そんな事で来たの?」声を裏返したロイドが大袈裟に唱え、「昨日、次元獣が出現した場所に〜?」と更に付け加えながらミシェル達を見回す。
男の視線は何人かの顔を流した末、谷川のところで止まった。
勿論、意図しての事だ。ZEXISのメンバーについて、役割どころか個々の性格まで掴んでいるのだから。
「僕、覚えているよ。君は、21世紀警備保障のタニカワ社員だ」
「は…、はい。お久し振りです、ロイド博士」
たどたどしい日本名の呼び方に、谷川が多少強ばった表情で会釈する。
「はい、お久し振り〜。なるほど。君がいるのなら、対次元獣とは関係ないのかもしれない」
「だから言っただろ? 俺達別に、そんなじゃないって」
赤木が誤魔化しにかかると、「それ、本当ですか?」と突然スザクが食ってかかる。「確かに谷川さんはパイロットではないけれど、21世紀警備保障の社員。つまりプロです。車を管理しているクラッシャー隊ではなくZEXISのメイン・メンバーが直々に動いて、昨日次元獣が現れたばかりの場所を訪れている。しかも、昨日とほぼ同じ時刻に。何か、もっと別な狙いがありますよね?」
上官に代わり、生真面目な少年が彼らしく鋭角に抉り込む。
「別な狙いって、別に…」と、赤木も流石に言い淀んだ。
大山が、ちらりとミヅキを伺い見る。ロジャーがいれば彼は自らの出番と心得るのだろうが、件のネゴシエイターは今日バトルキャンプに残る方を選んだ。特派と遭遇した者だけで、降って湧いたこの難局を乗り切るしかない。
扇が赤木の前に出、スザクの視線
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