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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十九話 アルレスハイム星域の会戦
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より劣勢で有る以上、兵力は集中して使うのが常道だ。アスターテを見てみれば判る。ただアスターテと今回では違う部分がある。敵が一つにまとまっている事。敵に近づいて奇襲を掛けるのではなく、敵を待ち受けて奇襲を掛ける事の二つだ。
敵が何も気付かずにこちらに来てくれれば良い。しかしどうだろう、こちらの通信を傍受したのではないだろうか? 通信を傍受すれば内容は判らなくとも敵が居る事はわかるだろう。敵は注意しながらこちらへ進んでくるはずだ。となれば小惑星帯は一番最初に警戒されるのではないだろうか。見つかれば奇襲にならない。返って動きが取り難い小惑星帯では被害が大きくなる可能性が有る。
むしろ正面に兵を置き、敵の注意を向けさせ進軍させる。そして機を見て小惑星帯の伏兵に敵の後尾、または横腹を突かせる。
「なるほど、一理有る。皆、どう思うか」
「危険です。とても薦められません」
「小官はヴァレンシュタイン少佐の意見に賛成です」
「小官も賛成します」
シュターデンを除いて皆、俺に賛成した。
「うむ。参謀長、此処はヴァレンシュタイン少佐の意見に乗ろう」
「提督がそう仰るのであれば」
「どの程度の兵を伏兵にするか? 2,000隻程か」
「そうですな。それ以上は厳しいでしょう」
「4,000隻を伏兵にするべきだと思います」
「4,000隻だと、狂ったか少佐」
常識じゃ勝てないんだよ、シュターデン。
「誰でも正面にいるのが本隊だと思いたがります。そこを突くのです。正面に2,000隻なら伏兵があってもさらに少ない兵力だと思うでしょう。敵の警戒心は薄れると思います。さらに本隊を2,000隻にすれば、後退して敵を引きずり込むのも不自然ではありません。敵は我々が圧力に耐えかねて後退していると見るでしょう。そこを4,000隻で不意を突くのです」
アルレスハイム星域の会戦は俺の考えたとおりに始まり終結した。こちらの本隊の兵力が2,000隻と知った同盟軍は猛然と攻撃を仕掛けてきた。こちらが後退するとさらに攻勢を強め勝利を確定しようとし、そして敗北した。
小惑星帯から出た別働隊4,000隻が同盟軍の後背を突き混乱。それに乗じて反転攻勢をかけた本隊によってほとんど潰走といって良いほどの醜態をさらし敗退した。敵の損傷率は約5割、4,000隻以上になるだろう。アルレスハイム星域の会戦は原作とは違い、帝国軍の勝利で終わった。そしてエーリッヒ・ヴァレンシュタインが用兵家として最初の一歩を踏み出した戦いとなった。
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