風吹きて月は輝き
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さんが死んだらどうするつもりだったんですか? それに董卓を失えば涼州の防衛力が低下するのは目に見えていたはずですので、西涼にも影響があったはずですけど?」
「う……な、それは……」
「馳せ参じて真実を見抜こう、なんて論理も崩壊してますよー。だって、馬騰様は真実をとうに知っていらっしゃったんですから、ね?
裏で救援を手引くこともせず、娘にすら真実を教えず、真正面から叩き潰しに来たあなたの母親は……不義で、不忠で、不誠実なのですよ。勢力拡大を図るでなく、袁家が敵だと分かって侵略を開始していても何処にも力を貸さず、さしては西涼を守っているからいいのだーなんて、都合が良過ぎると思いませんか? 厚顔無恥にも程があると、どうして気付かないのですか。
王としての判断だ、というのならより一層笑えますが」
ふふふ、と小さく笑った。楽しそうに、風は喉を鳴らす。
挑発の類、ではあったが、もはや誰も激発出来なかった。疑惑と困惑が溢れているのは、馬騰が慕われている事の裏返しでもあるがゆえ。
「国を守る為に英雄を一人見捨てた。民を守る為に英雄を生贄に捧げた。誠実を貫いたモノに石を投げて悪の片棒を担いだのは、民の為であり人の為であり国の為。
そう言うのならこう言ってあげますよ。
国の為、自領の為というのなら、今は亡き賢龍のように反董卓連合になど参加せず此処を守っているべきでしょう? 他の諸侯に狙われるから、という理由で参加したのならより下らない。怖い怖いと怯えて、誰も信用せずに自分達だけで生きている……そんなあなた達はただ独立独歩で歩んで行くだけの自分勝手な国です。どっちみちいつかは誰かに攻められる事を分かっていたでしょうに、信頼を置ける隣人を見殺しにして自分達が攻められる時間を先延ばしにしたに過ぎませんねー。王としても、他国に疑いばかりを向けている時点で落第点かと。
それと、未だに陛下の元に馳せ参じず、民を、人を、国を戦火に落とさぬよう約を交わさぬのは何故のことですか? 国を守りたいのでしょう? 民を傷つけたくないのでしょう? 先帝陛下から任ぜられた命を大切にしているのでしょう? それならばなぜ、あなた方は陛下の元に文の一つも寄越さないで、早馬の一つも寄越さずに袁家との戦を眺めていたのですか。董卓を殺す為には兵を出すのに、袁家を滅ぼす為には兵を出さないんですよ? 檄文が無ければ動かないなんて忠臣と言えますか? 主に助けを求められないと助けに行かない、誰か他のモノが助けに行こうと言わないと救いに向かわない臣下に価値なんてあるんですか? 何がしたいんですかあなた達は? だから……西涼だけが国だと思っている、としか思えませんね、風には」
すらすらと口が良く廻る。
事実だけをそういった方向に言って並べれば、馬騰がいくら取り繕うとも非は覆せな
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