風吹きて月は輝き
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を治めるに足る政治屋を選別するのによい機会……馬騰さんであれ、他の誰であれ、劉備や孫策が怪しい動きをしている時分で自身の忠を示そうとする新しい西涼の太守はきっと、陛下からより深き御寵愛を受けられることでしょう」
内に含んだ言い分。
戦わずともよい。ただ国を纏めるに足る人物がいればよいのだ。
そうやって不和の元をばらまいて、風は彼女達の心を惑わせる。
連合国家は足並みを揃えなければ成り立たない。利害の一致で成立しているのだから、一歩先に出ようとするモノが現れれば疑心や猜疑心が芽吹いてしまう。
馬騰はギシリと歯を鳴らした。風の手腕を見てか、否、してやられた自分の不甲斐無さに。
不和の種は撒かれている。初めから戦うつもりではあったが、内部不振という不利な状況を押し付けられることが確定してしまった。
だが、彼女は言っておかなければならない。太守として、西涼連合の代表として。提案されたのならば、返答を。
「……断る」
「へー、連合は解体しない、と?」
「そうさね。逆臣、佞臣……好きに言えばいい。おれ達が死ぬ時は馬の上、憎き五胡を一人でも多く打ち滅ぼして死ぬ。あいつらにこの大陸を食い散らかされるなんて、想像しただけで悍ましい。戦って、戦って、死んで風になって、おれ達はそうやって生きてきた。
宣言してやる、程c。お前達じゃ五胡には勝てない。あいつらの実力も、あいつらのやり口もおれ達が一番よく知ってる。西涼の防衛戦が突破されれば、大陸は瞬く間に五胡の餌食となるだろう。
だけど、西涼は曹操に従わない。小娘に頭を下げてへこへこしてるようじゃあ、この大地を守れないんでね」
「……つまるところ、ただのわがままですか。国を個人の所有物としていませんかねー、馬騰さん?」
「ああ、そうさ。これはあくまでおれのわがまま。連合の代表の意見ではあるけど、総意じゃあない。
どうとでも言えばいい。考えるのはもう止めだ。西涼流ってのはな、感じるままに生きることだ。国のあれこれの為に汚いことだってしてやるけど、根本にあるのは自分が正しいと信じる心さ。それでおれと肩を並べた友が離れて行くのも別に構わない。
曹操のやり方じゃあホントの平穏なんてこないと思った。それでいい。あたいは陛下が、乱世を広げる曹操に誑かされているようにしか思えないねぇ」
顎に指を一つ当て、風は思案に潜ろうとして……僅かに呆けた
春蘭を見てみると不思議なことに落ち着いた様子だったのだ。あの春蘭が、華琳が正しいと言を上げることもせずに居た、それが異常だったのだ。
此処は任せようと、風は一歩下がると察したのか、春蘭が少しだけ前に出た。
「馬騰殿……いや、“馬寿成”。
お前の意思は分かった。馬の一族は我らの敵、ということだ。それならただ、首を洗って待
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