暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン40 鉄砲水と七色の宝玉
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の謝罪を聞く十代に対し、本気で訳が分からないという様子の翔。どうやらオブライエンからは何も聞いていないようだったので、僕が彼と協力していたこと、翔を人質にとることまでは僕も一枚噛んでいたこと、ヨハンたちの足止めを今の今までしていたことなど、全てを洗いざらいぶちまけた。2人とも、最後まで何も言わずに黙って聞いてくれた。そのことが、ただひたすらにありがたかった。

「こんな危険な目に合わせて、謝って済むような話じゃないのはわかってる。だけど、どうしても言わせて。………ごめん」

 最後に深々と頭を下げたまま、顔を上げるのをしばらくの間ためらう。時間にしてみればせいぜい数十秒ぐらいだろうけど、僕にとっては何時間もそうしていた気がした。すると、そんな僕の視界に2本の手が伸びてくるのが映る。恐る恐る顔を上げると、十代と翔の笑顔が見えた。もっとも十代の方は、デスベルトのショックでだいぶやつれた笑顔になっていたが。

「気にすんなよ、清明。もう済んだことだし、それにお前だって知らなかったんだろ?な、翔」
「そうッスよ。確かに怖かったけど、こうやってアニキも助けに来てくれたし、第一清明君が謝ることじゃないよ」
「十代、翔……ありがとう」

 2人の優しさが身に沁み、改めて頭を下げる。その様子が何かおかしかったのか、声を揃えて十代と翔が笑う……だけど、それもすぐに止まった。だいぶ無理して意識を保っていたらしい十代がついに限界になったらしく、そのままふらりと意識を失って崩れ落ちたのだ。

「ア、アニキ!」

 翔がその体を担ごうとするも、だいぶ体格差があるうえに別段力が強いわけでもない翔にはさすがに無理だったようだ。折よくやって来た剣山におぶってもらうことにして、とにかくレッド寮に運んでいく。少し迷ったけど、意識こそ失っていないもののかなり苦しそうなオブライエンも僕が肩を貸して連れていくことにした。

「デュエルをすればわかりあえるし友達になれる、か」
「何?」

 帰りの道中にふとこのフレーズを思い出して呟くと、オブライエンが聞き返す。ふっと笑って、どう説明しようかと少し首をひねった。

「いやね、僕も変わったなあって。ここに入学した時は、デュエルするだけで人と人がわかりあうってのはさすがに無理があると思ってたけど、いつの間にか僕もその考え方に染まってたみたいだし」
「……何が言いたい?」
「さっきはああ言ったけど、僕はオブライエンは悪い奴じゃないって信じてるよ。きっと今日のことも何かわけがあるんだろうし、気が向いたらでいいからまた教えてよ」
「なぜそう思ったんだ?」
「わかるさ。だって、オブライエンは僕にとってはもう友達だもん。友達を信じないんなら、一体何を信じればいいってのさ」

 オブライエンは、一言も答えなかった。
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