ターン40 鉄砲水と七色の宝玉
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めて翔の小柄な体を崖の上に引っ張り上げて縄をほどいてやると、すぐに十代に向かって駆け出して行った。
さて、十代と翔はともかくとして、どうしても僕にはやっておかなきゃいけないことがある。それも、デスベルトの影響が出る前に。ソリッドビジョンの衝撃に吹っ飛ばされてから立ち上がろうとするオブライエンのもとに行き、無言でその胸ぐらをつかんで起き上らせた。いたって落ち着いて息をつくその顔を見つつ、できる限り冷静に声を出す。もっともあまり成功したとは言えず、口から出たのは怒りを押し殺しているのがよくわかるような声だった。
「ねえオブライエン、あれはどういうこと?」
「どういう意味だ?」
「とぼけないでよ。僕は、『誰にも危害は加えない』って約束したから協力したんだよ?縛ってそこらへんに転がしておくだけならまだしも、なんであんなことする必要があったのさ」
怒りに震える僕とは対照的に一切感情を動かすことなく、なんだそんなことかと言いたげに息をつくオブライエン。それを見て、考えるより先に手が動いていた。次に気づいた時には、すでにその横っ面を張り倒していたのだ。意外にも無言でそれを受けたオブライエンが何か言おうとして口を開いたその瞬間に、その腕に付いたデスベルトが光を放った。
「ぐっ!?」
「大丈夫だったか、翔……うわっ!?」
それと同時に十代のデスベルトもまた光を放ち、持ち主のエネルギーを吸い取りにかかる。どうやらこの2人に対するエネルギー吸収は僕とヨハンが受けたそれよりもう1段とキツいものだったらしく、ふらつくどころかその場に2人して倒れこんでしまった。
よほど苦しいのか激しく息をつくオブライエンを見ているうちに、僕の怒りも干潮の海のように引いていくのが自覚できた。あーもう、だからデスベルトが仕事する前に怒っときたかったのに。こんな苦しそうなところ見せられたら、これ以上怒るに怒れないじゃない。
ただ、最後にこれだけは聞いておきたい。
「オブライエン。今のぐらいなら、避けようと思えば避けれたんじゃない?なんで喰らったのさ」
横っ面を張る寸前、オブライエンの目はしっかりと僕の腕の動きを捉えていた。そして軌道が読めたということは、避けようと思えば避けられたということだ。
そんな僕の質問に、苦しそうに息をつきながらゆっくりと答える。
「……お前には、俺を殴るだけの、正当な権利がある。そう思った、だけだ」
「そう」
それ以上何も言わなかったけど、その答えにとりあえずは満足した。次にこれまたぐったりして動けない十代のところに行き、その介抱をしていた翔の隣に座りこむ。こちらを見てくる2人に対し、頭を下げる。
「清明……」
「十代、翔、ごめん!」
「えっ?なんで清明君が謝るんスか?」
厳しい目でそ
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