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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン40 鉄砲水と七色の宝玉
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ヨハン。その言葉に力を込めて頷き、その手を掴んで立ち上がろうとしたところで―――――

 ドクン。

 デスベルトが突然光を放ち、そこを中心に猛烈な勢いでエネルギーが吸い取られていった。これ、は……授業用の教材の一種だとは信じられないぐらいの思ったより厳しい、下手すると意識を失いかねないほどの喪失感にどうにか耐えていると、同じように苦しそうに息をつくヨハンが見えた。

「こ、今度はどうしたんだドン!?」
「おかしい、昨日十代とデュエルした時はここまでひどくは……なかった、はずなのに……」

 その瞬間、なぜか昼間見たオブライエンの顔が脳裏に浮かんだ。人質を取ってでも十代の本気以上の力が見たいとの、あの時僕に彼がした不自然で無茶のある要求。当然、十代は熱くなるだろう。そしてその腕にはまっているのはデュエリストの熱い思いや情熱……すなわち、本気の力を吸い取るデスベルト。

『マスター、今私が……』
「いや、この程度なら平気、ちょっとびっくりしただけだし。それより、今は十代が!」

 実際少しの間じっとしていたら、どうにか体調も持ち直してきた。すぐさま立ち上がって、いま思いついてしまったある考えに思いを巡らす。おそらく十代とオブライエンは、あの場所で今もデュエルしているだろう。そしてあんなロープも張ってない危険極まりない崖っぷちでデュエルした後で、何も知らないであろう十代達に今のデスベルトのショックが突然襲ってきたりしたら?そして、そこで思わずよろめいたりでもしたら?そのまま何かのはずみで足を滑らせたりでもしたら、本気で2人の命に関わる!

「あ、清明せんぱーい!?」
「剣山、悪いけどヨハンお願い!」

 それだけ言い残し、座り込んでいた姿勢から急に立ち上がったせいで一瞬ふらついた自分の体に活を入れて走り出す。困惑する剣山の声を後ろに聞きながらもスピードを落とさないよう木と木の間を走り抜けていくと、今まさにそのデュエルが終わろうとしていた。

「これで終わりだ、ネオスで攻撃!ラス・オブ・ネオス!」
「十代、オブライエン、危ない……翔!?」
「清明!?」

 ほんの一瞬だけ当初の目的も忘れ、翔の名前を叫んだのにはわけがある。昼間に見た、オブライエンの修行用ワイヤー装置。なんと翔は体中をぐるぐる巻きに縛られた状態で、一本だけ生えた崖際の木からちょうど昼間のオブライエンのように吊り下げられていたのだ。

「落ち着け。デュエルが終わった以上、約束は守る」

 慌てて翔が吊るされている木に登り、がっちりと固定されたワイヤーを掴む。誰も止めに入らないということは、僕が引き上げていいんだろう。

「翔!ちょーっと大人しくしててよ、今引きあげるから、ねっ!」
「う、うん……アニキー!」

 最後のねっで腕に力を込
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