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剣の丘に花は咲く 
第十六章 ド・オルニエールの安穏
第五話 ド・オルニエール
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を逸らす士郎を、凛はジト目で睨みつけた。

「まあ、いいわ」

 溜め息を着きながら呆れたように頭を振った凛は、その長い美しい足を組み士郎を改めて見つめ直す。

「その霊脈というのが、土地の状況から考えて絶対にある筈のない霊脈なのよ。だから調べてみたの。具体的には、その霊脈の起点と思われる場所をギーシュの使い魔に掘らせたんだけど。良かったわ。都合良く穴を掘るのが上手い使い魔がいて」

 まるで自分の使い魔のような感想を口にする凛に、士郎は乾いた笑みを口元に浮かべた。どうやらギーシュたちは、自分たちだけでなく使い魔も使われているようだ。
 士郎の懊悩を他所に、凛は研究者が研究成果を語るような喜々とした様子で話し続ける。

「―――で、問題の霊脈の起点の中心から掘り当てられたのがコレというわけ」
「つまり、コレは霊脈を生み出すほどの力を持ったナニカと言うことか」
「そういうこと、実際それを取り上げてみたら案の定霊脈は消えたわ」
「霊脈を生み出す、か……」
 
 霊脈を生み出す―――異常だ。
 凛は軽い調子で口にしたが、そんなモノはまず有り得ない。現存する宝具と比べても比べられない程。例えあったとしてもそれは、神代で語られるような代物だ。だが、そんなモノが現実に、それも目の前にある。

「そんなとんでもな代物をプレゼントされるこっちの身にもなって欲しいんだが」
「あら、どんな魔術師も知れば親子供を質に入れてまで手に入れようとするような代物を前にとんだ言い草ね」
「はぁ……そもそも、これを俺に渡してどうして欲しい。それにどんな魔術師も欲しがるというのなら、欲しがるのはお前も同じ筈だろ」

 士郎の言葉にふんっ、と鼻を鳴らした凛は、スカートの中身が見えるような大きな仕草で足を組み直した。

「私がこんな物騒なモノを欲しがるわけ無いでしょ。コレ、ほんとにとんでもない代物よ。詳しく説明したら長くなるけど、一言で言えばそう―――魔力回路の塊、いえ魔力製造炉と言った方が正確かしら。下手にいじって暴走でもさせでもしたら……最低でもド・オルニエールの領地ぐらい軽く吹っ飛ぶでしょうね」
「―――おい、そんな物騒な代物を俺にプレゼントしたなのかお前は」

 士郎の怒ればいいのか悲しめばいいのか、それとも笑えばいいのかわからないといった複雑な顔にニッコリと笑顔を向けた凛は、大きく頷いた。

「ええ、そうよ。嬉しいでしょ」
「……っ、く、ぁ、ああ、とても、嬉しい、な」

 腕を組み、色々と考えた結果、引きつった笑みを浮かべ凛を睨めつける士郎。

「―――それで、魔力製造炉というが、出力的にはどの程度だ。領地が吹っ飛ぶとか、霊脈を生み出すとかを聞くと、余り聞きたくはないんだが……」
「そう、ね……」

 壁に寄りか
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