第十六章 ド・オルニエールの安穏
第五話 ド・オルニエール
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ーブルの上に乗せた。
ゴドン、と硬い金属の塊を落としたかのような音が響き、硬い樫の木のテーブルが軋みを上げた。
「……で、ソレは一体何だ?」
「そう警戒しなくてもいいじゃない」
士郎の視線はテーブルの上に置かれたモノに注がれていた。その目には隠しようもない程の警戒が宿っていた。
ソレは一メートル程の長さを持った棒状のナニカであり、隙間なく赤い布で包まれている。確かに怪しいが、士郎が警戒しているのはその見た目故にではなかった。まるで拘束するかのように、封じるかのように巻きつけられた布。正確な所は不明だが、魔力を封じる為のモノなのは間違いないだろう。その能力は、解析をしなくとも非常に高いのは伺い知れる。それこそ、カレンの使うマグダラの聖骸布に匹敵する代物にも見える。もしかしたら、これもまた、何かの聖骸布なのかもしれない。
だが、問題はそこではない。
問題は、そんな一級品の概念武装であっても、封じる事が出来ない程の力を放つその中身だ。
封じられていながらも暴力的なまでの魔力を放つそれは、触れる事さえ躊躇う程である。
「ソレを前にして良くそんなセリフが言えるな」
「怒らないでよ。折角のプレゼントなのに」
「…………ぷ、プレゼント、だと?」
「そうよ」
凛が口にした言葉と目の前の特級の危険物が繋がらず混乱する士郎に、テーブルの上に腰掛けた凛が妖艶な流し目を向けてくる。
「あなたの為に用意したのよ。嬉しいでしょ」
「……これほどまでに嬉しくないプレゼントは久々だな」
ここで初めてと言えないのが色々と酷い。
士郎は頭痛を耐えるかのように眉間を押さえながら凛を睨みつけた。
「で、いい加減教えてくれないか、これのことを」
「さあ、正確な所は私にもわからないわ。ほら、この間ギーシュが温泉を掘り当てたじゃない」
「ああ、あったなそんな事も」
ついこの間―――昨日の事であるが、ギーシュが屋敷から程近い場所で温泉を掘り当てた。ギーシュ曰く、ヴェルダンデが穴を掘っていたら掘り当てたそうだが、穴を掘っていた理由については決して口を割ることはなかった。
この様子だと、どうやら背後には凛がいたようだ。
「ギーシュに穴を掘らせたのは、ソレのためか」
「……霊地を探し回っていた時にちょっとおかしなものを見つけたのよ」
「おかしなもの?」
士郎の問いに応えず、凛の視線はテーブルに置かれた布の塊へと向けられる。
「この辺りを流れる霊脈の中に、一つだけ異常な流れを見せるものがあったの」
「どういうことだ」
「あなたも最低限の知識ぐらいあるでしょ。霊脈は不規則に見えて実は規則性がある事ぐらい」
「……まあ、それぐらいは」
「……あんた」
どことなく決まり悪そうに視線
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