第十六章 ド・オルニエールの安穏
第五話 ド・オルニエール
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は広々と眠れる程に大きなものとなった。
屋敷の外の庭には、馬小屋と猟犬用の檻があったのだが、新たにセイバーのために竜用の小屋が建てられていた。
そして、屋敷には地下室もあった。階段の下にあるその地下室の扉はしかし、硬く閉ざされており開く事は出来なかった―――のだが、もしや宝物庫かとの話を聞いたとある人(赤い悪魔)の鶴の一言により強制的に(凛の崩拳により)突破されることとなった。しかし開かれた地下室の中には、壊れた樽や板、庭の手入れの道具等が埃被って転がっているだけのただの物置であった。
さて、そんな古びた物置であった地下室だが、凛と士郎の話し合いの結果、士郎の工房となった。ちなみに、凛の工房も屋敷の中に設置されたのだが、その位置は誰もわからないとのことであった。
凛曰く、万が一間違って入っても、痛みもなく逝けるから心配するなとの言であった。
なお、その話を聞いたルイズたちの猛烈な抗議(屋敷に致死性のトラップを仕掛けるな等)により、危険度はかなり引下げられたそうだが、危ないのは未だ変わっていない。
それはさておき、この世界では初めての士郎の工房であるが、はっきりと言って大した設備はない。もちろん凛の工房とは違い、侵入したからといって問答無用に身体の自由を奪われたり、トラウマを植えつけられるような凶悪なトラップも設置されてはいない。そこは一見すれば、何処にでもある物置のようにも見えたが、幾つか普通ではない点がある。
一つは壁や運び込まれた棚等に置かれたモノである。
槍、剣、刀、ナイフ等様々な刀剣がそこにはあった。しかも、どれもこれも並ではなく、素人目からしても、業物であるのが伺いしれる程の凄みが滲み出る品々であった。もしも、これらを好事家の者たちが見れば、一振りだけでも屋敷を土地込みで購入できるだろう金額を支払ってでも購入するだけの垂涎ものばかりであった。
しかし、もしもそういった好事家たちから求められたとしても、士郎は一振りたりとも売ることはないだろう。それは、これらの剣に愛着を持っているからではない。むしろその逆とも言っていいだろう。何故ならば、この工房に置かれた剣のほぼ全てが偽物だからだ。
そう、この工房にある剣の殆どは士郎が投影した剣であった。
しかし、その中に一振りだけ違うモノがあった。
数十はあるだろう刀剣の中に、本物が一振り。
本物―――と言うのは少しばかり違うだろうか、正確には、士郎が自らの手で鍛えた剣であった。
普通の物置のようにも見えるこの工房で、普通の物置にはないモノを使って。
それは炉であった。
地下室の中央に設置されたソレは、一見すれば鍛冶場にある炉。
しかし、その実態は少しばかり違う。
確かに、形だけを見ればソレは炉であり、その目的もまた同じである。
だが、
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