第十六章 ド・オルニエールの安穏
第五話 ド・オルニエール
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「あの子が言ってたのよ。あのお姫様から士郎が領地を貰ったって教えたら、『それは事前に調べておいた方がいいかもしれませんね。陛下のお立場なら、ちっぽけな領地のことなんか覚えていないと思いますし。話を聞く限り、随分とほったらかしにされていたようですから、領地もどれだけ荒れているか、もしかしたら屋敷なんて崩れ落ちているかもしれませんよ』ってね」
「それが、どうしたのよ」
ルイズが戸惑った声を上げた。
確かにここまでの領地は荒れ果てていた。屋敷もまた、ギーシュたちが修復していなければ、住むのにも時間が掛かっていただろう。レイナールの心配は的を射ていた。
だが、凛の話を聞く限り、レイナールは領地の現状を心配してはいても、自分たちが荒れ果てているだろう屋敷を修復するなどとは口にしていないようだが……。
「ええ、だから『あら? そんなに心配してくれるの? だったら、今度下見に行く予定だから、先に行って、屋敷の準備をお願いしてもいいかしら』って言ったのよ」
ふふ、と小さく笑うと、凛は綺麗に修復された屋敷を前に腕を組み、うんと一つ満足気に大きく頷いた。
「やっぱりお願いして正解だったみたいね」
「……悪魔」
「悪魔ね」
「小悪魔じゃなくて悪魔ね」
「あ、あの……それは、ちょっと……」
「リン……流石にそれは」
「……やっぱり赤い悪魔だ」
士郎たちの呟きをどこ吹く風か、凛は堂々と胸を張り自身の手際を褒めるかのように満面の笑みを浮かべていた。
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ギーシュたちが心身を犠牲にして修復した屋敷は、二階建ての昔流行したタイプの石造りの屋敷であった。玄関の前に扇状に広がる階段があり、重い樫の玄関の扉の先には、広々とした高い天井のホールが広がっている。
玄関を入って右手には、二十人は優に抱えられる食堂があり、更にその奥には厨房があり。入って左手には応接間兼書斎が置かれている。
玄関ホール正面にある途中で左右に分かれる階段を登れば、六つの部屋がある二階へとたどり着く。
六つの部屋はそれぞれ広さは違っており、その中でも一番狭い部屋(それでも人が二、三人楽に寝て過ごせる広さである)をジェシカとシエスタの部屋とし、一番広い部屋が士郎の部屋となった。ちなみに、ルイズの部屋は二番目に広い部屋となっている。
なお、士郎の部屋に置かれた新調されたベッドは、皆の意見(士郎の意見を除く)により四、五人
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