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逆さの砂時計
Side Story
無限不調和なカンタータ 3
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ょそこらの人間には絶対敵わない、とんでもなく良質な音で歌ってるわ。それを()()()呼ばわりするのは、保証した私の実力と経験と感性に対する冒涜に等しい。あんたが卑下するたびに、私に対して喧嘩を売ってるってことよ。ここまで噛み砕かなきゃ解らない?」
「!」
「あんたが自分自身でどう思っていようが知ったこっちゃないの。この私が認めたものをバカにしないでちょうだい! 理解したら返事!」
「はひっ」
「そして実行!」
「ど、努力しますっ」
「煮え切らないわねぇ」
「すみません」

 ふむ。
 ちょっぴりでも前向きな言葉を引き出した分、良しとするか。
 根は真面目だからこそ、自分の不器用さに辟易(へきえき)してるんだろうし。
 真面目だからこそ、明確な目標を与えてやれば、きっと転びながらでも、前へ前へと進もうとする。
 初手にしては、まずまずの感触だ。
 この調子で、うまく丸め込んでしまえれば楽なのに。

「ところで、いつまでそうしてるつもり?」
「え」
「苦しいんなら、さっさと起きなさいよ」

 一向に動こうとしない背中をペシペシ叩いて、首を傾げる。

「いや、その……、えーと」

 ぶら下がってる両手両足の先だけが心許なく宙を泳いで……
 って、まさか。

「起き上がれなくなった、とか?」
「……すみません」

 アホかあぁぁああ────ッ!!



 どうやらカールは、絶対に落ちない姿勢とやらを考えに考えた末。
 少しでも接触面積を増やそうとして、枝にしがみついていたらしい。
 落ちたら私に迷惑を掛けそうだから……って。
 自分で起き上がれなくなったら同じでしょうが!
 何の為に、私が一段下の枝で寝てたと思ってんのよ!

 ったく。
 本当、ズレてる。
 もーいろんな意味でズレまくってるわ、このおバカ。
 しかも

「……キノシュ?」

 空一面がすっかり青くなった頃。
 木から降ろしてやったカールが朝食として集めてきたのは。
 色とりどりで、なんとも野性味溢れる様々な植物。
 目を痛めそうな鮮赤色のカサが付いた丸っこい胞子菌類とか。
 冴えた紫色のネーギュっぽい物とか。
 そんなモノばかり食料認定するこいつの感覚は、あまりにも異常すぎる。

「植物なら逃げないし、動物よりは食べることに対して抵抗が少ないから。どうしてかな? 植物だって生き物なのに、殺してる感覚が薄いんだ」
「そりゃ、植物に対して固有の意思を認めてないからでしょ。その極彩色は毒入りとしか思えないから、食べるのはやめておきなさい」

 地面に積んだ植物の中から、悪魔の目にも禍々しい物体を摘まみ上げて、草むらにポイッと放る。

「意思を認めてない? あ、これならグ
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