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最高の軍師
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が新生ゴーラを認めた故、俺が信頼に足るか否か確認に来たのだろう?
そんな決断の出来る者が現れるとは欣快の至り、ユラニアの民を護る為に総て任せる。
ケイロニアのグイン王が勧めてくれたとあれば、最高の身元保証人だよ。
貴公の言葉を俺は信じる、嘘偽りがあるとすれば俺に人を見る眼が無かったと言う事だ。
俺は貴公を信頼できると決めた、わからん事があれば何でも聞いてくれ。
細々とした報告も不要だ、貴公の裁量に総て任せる。
俺の耳に入れとかんとまずい、と判断した事だけ教えて貰えれば良い」
深い光を湛え、カメロンの表情を観察する黒い瞳が瞬いた。
ユディトー伯ユディウス・シンは、返答を静聴の後に深々と敬礼。
ゆっくりと腰に手を伸ばし、携えた剣を抜く。
ブランが思わず腰を浮かせ、警護の任務を果たすべく剣の柄に手を伸ばすが。
カメロンは海の兄弟を視線で止め、訪問者に微笑。
オル・カン大公の厚い信頼を得た軍師、サイロンに単身潜入した男は剛毅な瞳を直視。
中原に共通する騎士の作法に則り、緩やかな動作で長剣を廻した。
剣の柄を差し出し、切っ先を自らの胸に向け敵意の無い事を示す。
二君に仕えぬ決意を翻し、朗々と宣誓の詞を述べた。
「新生ゴーラ王国の宰相、ヴァラキアのカメロン殿。
君は我が剣の王、唯一の主君なり。
我が忠誠を試さん時はその御手にて、何時なりととも我が胸を突き給え。
我が生命は君に奉りし物にして、君が為死するは我が心よりの喜びなれば。
我が剣の主たるを肯んじ賜わば、いざ我が剣を受け給え」
「ユディウス・シンの剣、確かに受け取った。
これより御身を我が右腕として信頼し、御身の忠誠に応えん事を誓う」
カメロンは刃に口付けし反対側に廻し、柄を向けて剣を渡した。
ユディウスも剣に唇を付け、震える手で剣の上に忠誠の印を切る。
レントの海で鍛えられた提督の瞳、ユラニアの軍師と尊称された男の誠実な黒い瞳。
双方の眼が相手の裡に何か、信頼に足るものを見出した喜びに輝いた。
誓いの剣を厳かに鞘へ収め、感激を噛み締める軍師ユディウス・シン。
新ユディトー伯爵は終生カメロンの片腕となり、ゴーラの安定に力を尽くす事となる。
新生ゴーラ王国の宰相は図らずも、ケイロニア王の計らいで有能な補佐役を得たが。
旧ユラニア領に精通する軍師の手腕を絶賛の後、アルセイスの牢獄を訪れた。
『アルゴンのエル、モンゴールは決して忘れぬ!』の言葉を遺した先代マルス伯爵。
アムネリス幼少時からの御守役、厚い信頼を得た勇者と同じ青い瞳が訪問者を睨んだ。
「アムネリス様を騙し、父を焼き殺した裏切り者の同類め!
お前と話す気は無い、消え失せろ!!」
前モン
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