Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 28. Duel in the Three Quarters
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いが、オーダメイドだから仕方がない。っつーか、この刀が手に入るなら、むしろ安いくらいだ。
「……にしても、なんでアンタの装備って毎回毎回脳筋使用なワケ? せっかく多芸な刀振ってるんだし、もうちょっとタクティカルなスタイルも目指してみたら?」
「うっせ。俺にはそーゆー小細工は向いてねえんだよ。真正面から斬りかかってぶちのめす方性に合ってんだ」
「変わんないわね、その辺。十九層で会ったころからずっとじゃない。馬鹿正直なのもいいけどさ、計算した上手い立ち回りってのも必要だとあたしは思うわけよ。じゃないと、リーナに苦労かけすぎて愛想尽かされるよ?」
「オメーに言われなくても分かってるっての。大体、キリトにフラれた奴に、愛想尽かされる云々言われたくねーよボケ」
「むか!! 失恋した乙女にそーゆーこと言う!? このデリカシーなし男!!」
鼻で笑うようにして言った俺の言葉にリズは怒り、金床に放置してあったハンマーを取り上げた。そのまま俺に向かって投げつけようと振りかぶり――
「――なにしてるの?」
突如響いた冷たい声に、ピタリと硬直した。
買い食いから戻ったらしいリーナが、ホットドックの袋を片手にリズを睨みつけていた。冷え冷えとした視線にさらされたリズは、投擲三秒前の体勢のまま、首だけをぎこちなく動かしてリーナの方を向いた。
「こ、こんにちはリーナ。お元気そうでなにより……」
「うん、私は元気。とても元気。元気が有り余りすぎて、ハンマーを振りかざす女の子をうっかり斬ってしまいそうなくらいに元気」
そりゃ元気じゃなくて狂気じゃねえか、とかいうツッコミはナシだ。今下手に喋ったら、確実に巻き込まれる。
絶対零度の空気で短剣の柄に手をかける鬼の姿に、ひぃっ、とリズはすくみ上り、ハンマーを元あった場所に半ば放り捨てるようにして戻した。
最悪の場合、俺は標的になっても力で抑え込めるが、レベル七十にも達してないコイツはそうはいかない。営業スマイルで誤魔化すようにしちゃいるが、明らかにビビリまくってる。
前にリズがリーナに対して悪戯を仕込んだことがあった。なんでンなことになっちまったかは忘れたが、完全にブチ切れたリーナによって地獄の「オハナシ」が執行され、リズにとってはトラウマ化してるらしい。
以後、事あるごとにリーナはリズを警戒していて、なにか通常と異なる動きをすれば即座に鬼気が宿った目で睨むようになっちまった。傍から見ててもマジでこえー。
放置しててもいいんだが、ここでドタバタされたら確実に営業妨害だ。とっととズラかることにする。
「おいリーナ、その辺で止めとけ。リズが死にかけだ」
「…………むぅ」
「っつーワケで、俺らもう帰るわ。じゃあな、リズ」
「え、あ、はい!
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