Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 28. Duel in the Three Quarters
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の柄の先端には、二十センチ程の鎖がぶら下がっている。ジャラジャラと音を立てるそれを見やりながら、俺はあの騒がしい「死神」を思い出していた。
リズから受け取ったこの刀は、夏ごろに攻略したホラーエリア、六十六層の首なし騎士型ボスからドロップしたインゴットから生成したモンだ。しかも、ただインゴット単品から作ったんじゃなく、あのマツリから受け取った下緒を素材アイテムにして融かし込んでおいた。
クリティカル率の上昇幅が他のドロップ品を下回るようになってからは、こいつはずっとストレージに死蔵しっぱなしになっていた。しかし、件のボスを討伐する際、「死神の持ち物なんだし特攻つくんじゃね?」と思いつきで装備したところ、効果はテキメン。五割増しでブーストかかってんじゃねえかってくらいの高火力を叩き出すことができた。
けど、その代償か、かなり耐久値が減少していて、あと数度ダメージを受ければ確実に壊れちまうような有様になっちまった。このまま装備してれば近い将来確実にぶっ壊しちまうし、かと言って永遠に閉まっておくのももったいねえ。
散々悩んだ末、こうして武器作成時の追加オプションの素材として組み込んだってワケだ。リズ曰く、武器の色や形状みたいな性能に影響しない部分にしか作用しないらしいが、それで十分だと言いきって、生成時に追加してもらった。
――で、やっぱりこうなった。
こうなると予想していなかった、と言えば嘘になる。
俺の記憶から生成されたっぽいアイツのアイテムは、言うなれば俺の「記憶」を「形」にしたモンだ。それを外観に反映させるシステムに突っ込めば、俺の記憶を基にした意匠になる可能性は極めてデカい。そんで、俺の記憶の中から「刀」のイメージを抽出したとすれば、この外見で出てくる確率は低くはないはずだ。
手の内にある天鎖斬月に酷似した刀を見つめながら、俺は自身の仮説を締めくくった。その黒い刀身を閃かせ、リズから受け取った黒塗りの鞘に納めて緋色のチェーンで背中に吊る。普段抜き身で持っていたコイツが鞘に納まっている光景は何となく違和感を覚えるが、そこにイチャモンつけてもしょうがない。
ふと、窓硝子に映り込んだ自分の姿が目に映った。
つい最近新調した黒い襟なしのコートに、首や小手には最低限の装甲。流石にボトムスは袴に草履じゃなく、ゆったりしたズボンにブーツを履いてはいるが、シルエットはどう見ても卍解のそれだった。手に天鎖……もとい『鎖坐切』を持てばさらに近くなる。
「へぇー、変わった外見の刀だからどうかなって思ってたけど、案外しっくりくるじゃない。似合ってるわよ」
「そりゃどーも。ほれ、金払うぜ」
「あ、はいはい。毎度ありっと」
リズの世辞に適当に返しながら、代金の十万コルを支払う。滅茶苦茶に高
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