Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 28. Duel in the Three Quarters
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じゃ、アスナが一時ギルドを抜けてキリトとパーティーを組みたいと申請したところ、ヒースクリフが提示した条件がキリトとのデュエルだったらしい。最前線に籠ってばっかの俺が言えたことじゃねえけど、戦闘マニアなキリトはその場の勢いでその条件を飲み、観衆ひしめくこのコロシアムでデュエルすることになったそうだ。
女の取り合いでタイマンのケンカとかいつの時代の人間だオメーら、と言ってやりたくなるが、せっかくの見世物なんで、俺はリーナやエギル、クラインと連れだって見物にいくことになった。いつもなら速攻で迷宮区目指して突撃してるトコだけど、たまにはいいだろう。残り四分の一になったこの鉄の城を踏破する前の、ちょっとした息抜きってところだ。
そんな今日、最前線は七十五層。日付は、秋も深まる十月二十日。
俺たちがこの世界に閉じ込められて、二年が経過しようとしていた。
◆
「……で、結局アイツはどうなったの?」
ユニークスキル持ち二人のデュエルの観戦を終えた俺は、四十八層『リンダース』の武器屋『リズベット武具店』を訪れていた。
丸椅子に腰かけたこの店のオーナー、リズことリズベットと向き合った俺は、手にしたカップのお茶を啜りながら素っ気なく答える。
「キリトの負けだ。大技を防がれて、硬直かけられたトコを突きでやられてた」
「ありゃ、流石のキリトも最強の男には勝てなかったか」
「まあ、競ってはいたし、最後も惜しいトコまではいったんだけどよ。トドメってときにヒースクリフの奴が超反応で盾振って弾いて、そのまま――」
「ザックリ、ってワケか。なーんかカッコつかない負け方ね」
「本人に言ってやれよ、それ。いい薬になりそうだ」
言い捨てた俺を見て、リズは容赦ないわねー、と言って苦笑した。今頃、奴はアスナに付き添われて控室でくたばってるだろう。キリトが負けた場合にどうなるかは聞いてなかったが、まあ碌な事にはならねえ気がする。条件を丸飲みにした手前が悪いんだし、自業自得だな。
「……っと、そうだ。忘れないうちに、これ、渡しとくね」
そう言ってリズは作業台から一振りの刀を取ってきて、俺に寄越した。つい最近まで振っていたドロップ品の『壊天』とは真逆の、真っ黒く反りの緩い刀身が新品の輝きを放っている。
「銘は『鎖坐切』ね。一応調べたけど、武器名鑑には載ってない刀よ。どうぞ、試してみて」
首肯を返し、俺はシステムウィンドウを操作して『鎖坐切』を装備する。今初めて握ったはずの刀なのに、吸いつくように手に馴染む。重厚な輝きを纏う刀を二度、三度と振ってから、俺はその黒々とした外観を見つめる。
刃渡りは七十センチちょっと。刃と同色の鍔は卍を模した形状になっていて、その下に続く漆黒
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