暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 28. Duel in the Three Quarters
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金に頓着することなく買い込んだ食糧の山を膝の上に乗っけて、自分はケバブらしきナニカを片手に持って齧っている。

 礼を言って受け取り、一口頬張る。チョコレートソースのほろ苦い風味が口いっぱいに広がり、チュロスのサクサクとした香ばしい生地と溶け合って濃厚な甘味をもたらした。

「チョコ味のチュロスなんて売ってたのかよ。俺も自分で買えば良かった」
「ん。コロシアムの西側の露店で売ってた。一本五十コル」
「……オメー、ここ東サイドだぞ? 食いモン買うために逆サイドまで遠征してきたのかよ」
「いいでしょ別に。それより、味はどう? くどいスイーツは嫌いだって昔言ってたから、甘すぎないビターチョコを買ったんだけど」
「ああ、すげー美味い。つか、俺がビター派ってこと覚えてたのか。言ったの確か、かなり前だろーが」
「当然。ついでに、貴方が辛党でスパイス好きなのも覚えてる。魚よりはお肉好き。飲み物はコーヒーより紅茶派。砂糖ミルクはなし」
「……俺、覚えられちまうくらいワンパターンだっけか? あんま意識したことねえんだけど」
「ううん。私が勝手に覚えただけ。はい、アイスティー」
「お、おう。さんきゅ」

 どっかからか取り出してきたLサイズのアイスティーを受け取り、一口飲む。爽やかな茶葉の風味で口の中に残る甘さを押し流しながら、俺は正面で激突するキリトたちに視線を戻した。武器がかち合うたびに火花が散り、激しい金属音を響かせる。

 その上には巨大なウィンドウが表示され、今熾烈な戦闘を繰り広げる二名の紹介が完結に記されていた。


「生きる伝説『神聖剣』ヒースクリフ
       vs 黒の剣士『二刀流』キリト」
 


 ◆



 七十四層が突破され、ここ七十五層が開放されたのはつい昨日のことだった。
 いつも通り、迷宮区の奥底でモンスターハウスを探してうろうろしていた俺たちは、クラインからのメッセージでそれを知った。

 事の発端は、迷宮区を探索中にキリトとアスナが偶然ボス部屋を発見したことらしい。つい最近、護衛付きになって嫌になっちゃうとか何とか愚痴ってた血盟騎士団副団長と、PoHによってギルドを潰されたトラウマで再びソロに戻ってたはずの真っ黒剣士が組んでたって聞いたときは、正直ちょっと驚いた。

 このデコボココンビ、ボス攻略会議で顔を付きあわせるたびにギャイギャイと言い争うそうな仲だったはずだ。だが、ごくたまにアスナと食事に行くリーナが言うには、つい半年くらい前からやけに仲良くなったようだ。というか、アスナが急激に丸くなったって感じらしい。さらに六十一層の空中歩行の練習なんかもちゃっかり二人で組んで練習してたとか。
 だから、もうアレはデキてんじゃねえかってのが俺とリーナの現在の推測だ。まあ、ぶっちゃ
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