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いいのだろうが、提督が知る限り駆逐艦娘も様々だ。睦月型、暁型や改暁型とも言える初霜、若葉といった少女らしい姿の艦娘もいれば、今提督の背に手を置き静かに微笑む女性と言うべき駆逐艦娘もいる。
――この年頃の女は、本当に意味不明だというんだよなぁ。
同年代だった頃には不可思議な生き物で、年をくってからは正体不明の生き物だ。と言うのが提督の考えだ。
とにもかくにも、イニシアチブを取り戻さなければならない、と提督はもう一度同じ事を口にした。
「早霜さん、どうやってこの部屋に」
そう言いつつ、そこの壁を通り抜けて、等と早霜が言ってきたら如何しようかと真剣に考え込む提督に、早霜は細めていた目を閉じて応えた。
「大淀さんが出た瞬間に、入れ違いで」
「やだこわい」
想像以上の怖さであった。提督の馬鹿げた予想こそ裏切ってくれたが、この早霜は確りと物理的にこの執務室に入ってきたのである。しかも誰にも気付かれずに。今後もこういった事があるかも知れないと心中震える提督を、誰が笑えようか。
「あらあら……怖いだなんて司令官……」
彼女の長姉、夕雲にも似通う笑みで相を染め、早霜は提督の肩を揉みだす。力加減は絶妙で、まだ肩こりも無い若い提督の体には少々くすぐったい物であった。
だが、誰かに肩を解されるという行為が、提督の中にあった"きつい"という何かを溶かしていく。
「あー……すまないねー」
色々と言いたい事、思う事はあったが、提督は肩から力を抜き早霜に身を任せる。それがまた嬉しいのか、早霜は提督の後頭部に頬ずりしながら肩揉みを続けた。
「早霜、まだお風呂に入ってないからー……、じゃなくてだね、君も女性じゃないか。簡単に君、そんな事をしちゃあいけないよ」
「簡単でなければ、いいのね……?」
「まだ早いと言っているのは分かっている筈だから、くんで貰えないものだろうかなー?」
そうね、と小さく呟き、早霜は頬ずりを止めて小声で囁いた。
「お風呂、お背中流しましょうか……?」
提督の耳元で囁いたそれは、提督にとってスイッチとなった。提督は横に移動して早霜の手から逃れ、斜め後ろに立つ彼女を見上げる。
「あまり大人をからかうな……なんてのは月並みだけれど、それ以外言葉が無いよ」
名残惜しげに自身の手の平を見ていた早霜は、スカートの裾を一つ払うと、床に、ぺたん、と座り込んだ。女の子座り、とも言われる座り方だ。その姿のまま、早霜は提督をじっと見つめている。さて、これはまたなんだ、と口をへの字にした提督は早霜に問うた。
「それは……?」
「司令官を見下ろすなんて、失礼でしょう……?」
「平気でやる艦娘は何人もいるんですがそれは」
「十人十色」
「あ、は
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