第十九話「HAWAIIAN・BLUE」
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る奴と言ったら太智か、清二、あるいは一夏のランダムに違いない。
俺は気軽な声と共に引き戸を開けて部屋に入ってきた。
「ろ、狼君?」
そこには、弥生が居た。
「や、弥生!?」
当然俺は驚いた。寮では一様ルームメイトであるものの、旅館でもその役を担うのは凄い偶然だった……
「その……部屋の数が原因で、一緒の部屋になりました……ご迷惑、でしたか?」
不安な顔を向ける彼女に、俺はブンブン首を振り回して否定する。
「いやいや! そんなことないよ? いや……弥生ちゃんは元々ルームメイトだし、むしろ落ち着くよ?」
「そ、そうですか? なら、よかったです……」
「う、うん……」
しばらく、俺たちの間に気まずい沈黙が続いた。お互い、何も会話をしないまま時間だけが過ぎて行く。俺が何か言わないといけないよな……?
「あ、あの……テレビ、見る?」
ふと、俺はテレビへ指をさした。
「え……はい」
「じゃあ……えっと、何やってんだろ?」
別に、ここってメガロポリスからそんなに離れていないから、チャンネルは同じはずだ。
しかし、テレビの音声からは信じられないものが……
『さぁ〜? 今宵も最高の官能映画をお届けするわ?』
「っ!?」
ナレーターの声と共にR指定のタイトルを聞いた途端、俺はとっさにテレビを消した。俺たちはお互い顔を赤くする。
「ご、ごめん! あんなの放送してたなんて知らなかったんだ」
「い、いえ……」
再び沈黙が続いた。自分のせいで弥生の気分を害してしまった。こうしている間にも他の生徒達は、楽しく部屋でトランプなりUNOを囲って遊んでいるに違いない……
そこで、俺は再び口を開けた。
「……あ、暇だったら別の部屋へ行ってみたら?」
「え……?」
一瞬、弥生が驚いたような顔をした。何か変な事でも言ったのかな?
「あの……私といると退屈ですか?」
「え?」
誤解を招いてしまったのだろうか?
「やっぱり……私なんかよりも、一夏さん達の方へ行ったほうが?」
「そ、そんなんじゃないよ!」
俺はつい叫んでしまった。弥生は驚いている。俺は、心を落ち着かせてこう言った。
「今日のことで、弥生ちゃんが怒っているかと思ってさ? どうにかして場を和ませようと考えてんだけど、やっぱ俺があんなドジしたばっかりに……」
「そんなことありません!」
今度は、弥生が怒った。俺は、そんな彼女の言葉を聞く。
「別に……もう私は気にしていません。確かに、あの時は恥ずかしかったですけど……それより、私の方こそ一向に喋ろうともしないから狼君を退屈にさせているかと思って……」
「そんなことないよ? だって……他の皆は部屋で楽しくやっているからさ? それに比べてここに居ると静かで退屈だし、俺が何か楽しませようとしてもダメっぽいし……」
「フフッ、
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