第十九話「HAWAIIAN・BLUE」
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」
一緒に遊ぼうと、凰はその小さな背丈で目を皿にして一夏を探す。
「一夏はどこだ?」
と、箒も同様に彼を探していた。だが、一夏はこの場所には居なかった。
「海に行くのは久しぶりな〜?」
ビーチの片隅の日向で、アロハを着た一夏は、そのまま白いガーデンチェアへ寝そべってサングラスをかけた。彼は、海で泳ぐのが嫌だからそのまま時間が経つまでの間、昼寝をすることにしたのだ。
「ね〜? おりむーも一緒に遊ぼうよ?」
そこへ、本音がビーチに居る人間とは似合わない格好、狐の着ぐるみを着て現れた。コイツは、神出鬼没かつ、地形上体を構わずにその格好だからある意味で侮れない存在だ。
「悪いが、俺は海水浴が苦手なんだ……」
「ビーチバレーだよ〜?」
「それも悪いが。俺ってスポーツの苦手なんだよ?」
「んも〜……さっきウルフも同じこと言ってたよ〜?」
「どうして俺なの?」
「だってぇ〜相手チームめっちゃ強いんだもん〜」
「……」
どうしてもと、長時間しつこく頼んでくる本音に、流石の一かも折れてしまう。
「しかたない……他ならぬお前の頼みだ。だが、俺は戦力にはならないぞ?」
「いいよ! いてくれるだけで♪」
と、本音は一夏の手を引いてビーチバレーへと向かう。
「ところで、相手はどんな奴なんだ?」
「千冬先生!」
「はぁ!?」
ちなみに、千冬はビーチバレーはかなり強いらしい。
「おいおい? 姉貴を敵に回したんなら百パーセント敗退決定だぞ?」
「え〜? そんなことないよ〜?」
一夏が向かうと、そこには千冬が登場して生徒達が黄色い歓声を上げていた。
――何ともまぁ、きわどい黒ビキニ着てるよ? あのゲス姉貴……
そんな一夏は、生徒達へクールに微笑む千冬を見てため息をついた。
「あんれ? 一夏じゃないか?」
と、ヤシの木の根元で自分と同じアロハ姿の狼を見つけた。
「狼さん? どうしたんすか?」
「弥生を待ってんだよ? 水着に着替えるからって……ハァッ……ハァッ……」
しかし、何故か一夏は先ほどから息を妙に荒げ、さらに表情を濃くしている狼に違和感を持った。
「あの……さっきから息荒げてません? 体調でも悪いんですか?」
「いや……ハァッ……ハァッ……別に大丈夫……ハァッ……ハァッ……だけど……?」
「いや! さっきからスッゴイ息荒いですよ!? やっぱ具合が悪いんじゃ?」
「じ、実は……弥生を待ってんだ」
「弥生さんを?」
「ああ……水着に着替えてくるから待っていろって言うから……けど、何故か落ち着いていられなくて……ハァッ……ハァッ……!」
「ああ……弥生さんならね?」
あの可愛い娘ならきっと水着で男たちも魅了させるだろう? ましてや、狼のような青年なら尚更緊張するに違いない。
「弥生だけじゃない……あの神無さんも蒼
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