第九十六話
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瞬間――俺の目の前には、剣の切っ先があった。
「――――ッ!」
しかし、あまりにも高速すぎる一撃は、まるですぐには止まれない暴走列車のようで。抜刀術の動きの余波で神速の一撃を避け、こちらに向かって突撃してくるユウキに、カウンターとして――いや。ユウキの進行方向に日本刀《銀ノ月》を置いておく、といった方が正しいか。
「……はっ!」
自分から銀色の閃光に突っ込んでくる……筈のユウキが、突如としてこちらの目の前から消える。ぞくり、と背後から感じる気配に前転すると、空中に羽ばたいていたユウキと細剣が映る。俺に誘われていたことを悟ったユウキが、地を蹴った後に翼を生やして天に飛び、空中から攻撃を仕掛けてきていた。
「っ……」
体勢を整えながら、予想以上のユウキの反応速度に歯噛みする。確かにスピードが出ていたとは言え、突如として空中に逃れながら反撃してくるとは。飛翔して追撃してきたユウキの斬撃を、日本刀《銀ノ月》で弾きながら、俺はクナイをユウキに向け放っていく。
とはいえ、空中を自在に飛翔するユウキに対して、クナイごときが当たるはずもなく。あっさりと避けられ、再び神速の斬撃が俺を襲う――というところで、再びユウキにクナイが襲った。
「わっ!」
風魔法によって高速化されたクナイが、ユウキがクナイを回避する地点へと放たれていた。それ自体はユウキの髪を一本散らすのみだったが、ユウキの驚愕を誘うことに成功し――その間に俺はユウキの視界から姿を消した。
リーファやレコンが使っていた、薄い風の膜を展開することで自らの姿を消す風魔法。先日、ようやく使えるようになったソレは、ユウキを混乱させるには充分な効果をもたらしていた。
「えっと……――――」
ユウキが近くにある木へと目を外した瞬間、最大瞬間速度で翼を展開した俺が、空中のユウキへと飛翔して向かっていく。こちらの姿がその場から消えたため、違うどこかへ隠れたと考えるユウキの思考の隙をつき、ユウキの神速に比類するスピードの飛行。
奇しくも先程とは逆の構図。日本刀《銀ノ月》を解き放ち構える俺と、それを迎撃しようとするユウキ。流石というべきか、こちらの日本刀《銀ノ月》による一撃は防がれてしまう……が、まだそこで終わりではなく。
「まだだ!」
ユウキの細剣と鍔迫り合いを演じていた日本刀《銀ノ月》の峰に対し、俺はソレを思い切り蹴りつける。すると日本刀《銀ノ月》の一撃に足刀の重さも合わさり、元々筋力値の高くないユウキを押し込み、剣と剣を持っていた手を弾く。
少しだけ放たれたお互いの距離、がら空きになったユウキの胴。そこで日本刀《銀ノ月》の引き金を引くと、体勢を崩したユウキに対して刀身が発射される。あとはその刀身が突き刺さるのみ――とい
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