暁 〜小説投稿サイト〜
生徒会長
1部分:第一章
[1/3]

[1] 最後 [2]次話

第一章

                   生徒会長
 紅麗学園高等部生徒会長未月丘沙代子は才色兼備の才媛として知られている。ストレートのロングヘアに細面の白く秀麗な顔立ち、切れ長で睫毛も長い二重の瞳は知的かつしっかりとした光を放ち制服の着こなしも見事だ。今日も彼女はリムジンの車から出て来て学校の校門に向かっていた。
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
「ええ。帰りだけれど」
「はい」
「今日は遅くなるわ」
 中年のダンディな執事によって開けられた車の扉から出て前に進みながらその執事に述べていた。スカートはこの学園の制服であり膝から結構上だ。白いハイソックスにまるで彫刻の様な美しい脚が覆われているのが見える。その脚も制服から見える手も実に白く繊細である。
「だから。迎えは」
「どうされますか?」
「お兄様が来て下さるとのことよ」
 こう執事に告げるのだった。
「だから爺やも運転手さんも休んで。御願いね」
「有り難き御言葉」
 爺やと言われた執事はまずはそれを聞いて頭を垂れるのだった。
「それでは御言葉に甘えまして」
「皆にはいつもお世話になっているから」
 やはり前を向いたままの言葉だ。後ろを見ないが後ろにいる執事達に対して気配りをしているのがわかる。黒髪はストレートだが上でその一部を少し束ねて白いリボンを付けているのが可愛い。
「休める時は休んで欲しいのよ」
「左様ですか」
「そうよ。だから」
 声が優しいものになる。
「今日はそれで御願いね」
「はい。それでは」
 こうして執事達を下がらせ学校に入る。学校に入ると早速下級生達が挨拶をしてきた。
「お早うございます、未月丘さん」
「お早うございます」
「はい、お早うございます」
 沙代子は彼女達に微笑みを向けて挨拶を返す。その穏やかな笑みがこれまた実に気品があり麗しいものであった。
「皆さん今日もお元気そうですね」
「はい、会長も」
「お元気そうで何よりです」
「今日もいい朝ですね」
 気品と穏やかさだけではなかった。そこには優雅さも優しさもあった。何処までも美しい笑みであった。その笑みに下級生達も心を溶かされていたのだ。
「一日のはじまりを皆で喜びましょう」
「ええ。皆で」
「御願いします」
 こうしていつも彼女の一日がはじまる。学園の象徴でありまさに女帝と言われる存在であった。学園は女子校であり外の世界は知らない。そうして意味でまさに温室の花だった。
 だがその温室の花も世に出る時がある。放課後迎えの車を待っている時だった。不意に彼女に声をかける者がいたのであった。
「あの」
「あの?」
 その声を聞きまずは辺りを見回した。待っている時間であっても彼女の周りにはいつも人がいる。彼女を慕う下級生や友人達である。常に何人
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ