第5章 汝平和を欲さば戦に備えよ
第41話 善悪の彼岸
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て誇らしい反面、わが身が情けないわ」
「そのかんかほう、やはり僕には使えないんだろうか」
「八神さん曰く無理だそうだ。赤龍帝なみの頑強さがないと、身体が耐えられないらしい。それに、ファンタズマゴリアは封印するってさ」
「そうか、残念だ」
みんなで、今日の特訓の感想を話し合う。私たちは、冥界に強化合宿に来ていた。引率者はなんと堕天使総督のアザゼル先生。最初は警戒していたけれど、存外気さくな性格で、先生向きなのかもしれなかった。実際、彼の指導で、私たちグレモリー眷属は、めきめきと成長している。
「アーシアは元気でしょうか」
「心配いらないさ、子猫。八神さんたちと一緒なんだから」
「ゼノヴィアの言う通りね。……むしろ、はやての方が心配だわ。貞操的な意味で」
あぁ〜と微妙な空気が流れる。アーシアの変貌ぶりには、驚いた。悪魔になってはっちゃけたのだろうか。ゼノビアも一誠先輩に、その、子作りをせがんでいたし。おとなしいアーシアも好きだったけれど、いまの方が生き生きとしている。案外今のが、本来の性格なのかもしれない。八神先輩には同情するけれど。
「ギャー君も元気でやってるでしょうか」
「ミルたんなら大丈夫さ。見た目はともかく、中身はすごくいい人だし。見た目はともかく」
「でも、実際に指導してくれるのは、別の人なんですよね」
「あぁ、なんでも真祖の吸血鬼で、八神さんに闇の魔法を教えた人物らしい。ミルたんに師事しようとしたギャスパーの心意気に免じて、同じ吸血鬼として鍛えてやるってさ」
ギャー君……グレモリー眷属のビショップであるギャスパー・ウラディの話になった。彼女。じゃなかった、彼は、ミルたんとともに特訓している。実際に教えているのは、エヴァさんだけれど、特訓風景は見せてくれないみたいだった。
尊大な性格だったけれど、見た目と相まって可愛らしいひとだった。ミルたんに対する態度の豹変ぶりが、すごかったけれど。なんというか、乙女だった。
「あんなちっちゃい少女とは思わなかったけれどね」
「まあ、悠斗の言う通りだけれど、実力は十分よ。ギャスパーも頑張っているんだから、私たちも負けないようにしないと」
部長のいう通りだ。私も、頑張らないと。けれども、私の伸びしろがなくなってきている。あれを使うしかないのだろうか。アザゼル先生にも、あれを習得するように勧められている。忌まわしい記憶の中にある仙術を。……姉さん。私は。私はどうすればいいのでしょうか。
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