暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 黄昏のノクターン  2022/12
31話 密航船の行方
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の木箱はヤケに重くねぇか?」
「追加を入れたって話だ。中に木材でも詰めたんだろ。無駄口叩いてないでとっとと乗せろ」
「へいへい、ったく、それにしても重いぜ。腰を壊しちまいそうだ………」


 最初に積まれたのはリゼルとニオが入っていた木箱だっただろうか。重装備のニオが居れば致し方ない様にも思えるが、心なしか木箱からどす黒い殺気じみた何かが漏れ出ていたように感じたのは、きっと気のせいだろう。

 その後も積荷は順調に詰まれ、女性陣の紛れ込んだ木箱を積載した大型ゴンドラはゆっくりと離岸して水面を走る。俺も後に続き、《無音動作》を発動してから連結ゴンドラを漕いで追跡。サイドカーのように船体の横に固定したからこそ揺れは少ないが、これで誰かが乗っていれば現状のSTRでは太刀打ちできなかっただろう。リゼルの申し出が無ければ、きっと無音動作の効果範囲外であったクーネ達が見つかっていたかも知れない。そう思うと、視覚的にも聴覚的にも隠蔽された状況を作り出してくれたのはある意味でリゼルということになる。これには素直に感謝しておくとしよう。おかげで移動時でさえも隠れ率は堂々の100パーセントを維持している。とはいえ、操舵と前方の警戒を同時に処理しなければならない以上、油断などはしていられない。

 やがて、作業場の通りの水路を抜けると大通りに出て南に進路を向けた大型船は街を抜けて南東に茂る熊の森を越え、水路を真っ直ぐに下る。ほぼ一本道の渓谷を南下して、最初のカーブに差し掛かるも、大型ゴンドラの櫂捌きには転回の兆しが見られない。曲がって先に進む気はない。目の前にあるのは滝ぐらいのものだが………


「ああ、そういうことか」


 ふと思い出したセオリーに納得しつつ、前方のゴンドラに追従することにする。
 RPGというカテゴリーのゲームにおいては、もはや様式美とも言える法則が存在するのだ。

――――滝の裏には大抵何かある、と。

 そして予想通り、降りしきる水を割った裏側には立派な水没ダンジョンが形成されていた。幾つもの横道に伸びる水路はまるで迷路を思わせる。こういった場所に眠る宝箱を開く瞬間もまたダンジョンの醍醐味なれど、今は仲間の援護を最優先とする。
 そして行動開始に先駆けての前準備として、入口付近にゴンドラを係留して中を確認する。当然のことながら薄暗く、絹の効果を受けずとも隠密行動は可能だろう。通路の最果てであれば係留場所を忘れることもなさそうだが、念を押してマップデータにマーキングを残しておく。

 とりあえず、女性陣を乗せた大型ゴンドラを陸路で追跡することとしよう。
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