第二十二話:フィルター越しの対話
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七歳までの人生か……其処に関しては、コレ以上踏み言って聞かない方が良さそうだ。
「……生前から漫画が好きで、幽霊となってからも他社の背後から漫画を除き読んでいた。……ちなみに、幽霊に背後に立たれると肩が重くなる」
何ともいやな話だ。
ホラーな精神的負荷に加えて、物理的負荷まで掛けるのかよ……。
「……愛読書は『ベルサイユのばら』。当時、大ブームだった」
「喋り方から何となく察っせるが……男役が板についているのもソレか?」
「……あと、演劇部で男性役をやる事が多かったのもあげられる」
しかし『ベルサイユのばら』ブーム時に無くなったのか。
……確か1970年代の作品だから―――計算すると40代か? なら中身と年齢と喋り方が、全くもって合わないな。
また謎が生まれやがった……。
「なあマリス。アイツが1960年代生まれだとするなら、余りにも抜け過ぎてると思うんだが?」
「……幽霊は精神的にも成長が止まる。だから若くして没したのならば、精神的成長も其処でストップする」
ああ、なるほど。
態と演じている可能性も考えていたが……脅威も演じるも何も、元より老獪さはないと。
なら、ある程度崩しやすくはなる。
同時に内面的には縛られない、という仮説が絶対的な物になった。
そうなると、メープルの中身が犯罪者予備群だった可能性も捨てきれなくなる為、別段解決した事ばかりではないのが歯がゆいが。
「もう一つ質問いいか?」
「……その前にお代り」
「てめぇでやれ」
……何度頼もうが自分で食うわけでもなく、自分で用意できる飯を盛り付ける義理はねえ。
またも渋々といった感じでマリスはレトルト丼を作り終えると、音もたてず椅子に座り直し、三分の一ほど平らげてから口を開いた。
「……それで、質問とは?」
「デコ助の奴が【A.N.G】に狙われている理由、心当たりはあるか?」
俺がその話を出した途端、楓子の肩がビクッと震える。
俺の質問を聞く傍ら丼を食べていたマリスの手も、無表情こそ変わらないが、明らかに不自然な位置で止まった。
「知っているな?」
「……心当たりは、ある……心配させたくなかったから、黙っていた」
「そうか……取りあえずは信じる」
コイツはわずか半日程度の付き合いだが、殺すと脅してくる事を除けば、ノートの設定を丸で無視したがよろしく、気遣いも出来て聞き分けも良く、だからこそ話自体に受け入れ難いぐらい不自然な点はない。
そもそもすぐに話した所で、あの時苛々していた俺がちゃんと聞き入れていたかどうか、自分ですら分からないしな。
「……《絶対少女黙示録》は【A.
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