第一話
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、テロリストやマフィア相手に非合法に入手した大量破壊兵器やら何やらを売りさばき生計を立てるというのは、非常に望ましくない生活だった。
マサは安定と平穏を望んでいたのである。
「愚痴ってもしゃあないしなぁ。準備すっかぁ・・・・・・」
どっこいしょ、とマサは重い腰を上げる。
木箱とダンボールが作り出した迷路の中を、のっそりと掻き分けながら、目的のものを探し始めた。
────
「んー・・・・・・どこに置いたっけなぁっと」
ごそごそがちゃんとダンボールを動かしながら目的のものを探して早数十分。目当てのものは一向に見つからず、空いたダンボールの口からは弾倉や手榴弾が顔を覗かせていた。
「ぼちぼち整理すっかねぇ。でもめんどいなぁ・・・・・・っとあったあった」
ダンボールの山の中に一つのジュラルミンケースが鎮座していた。持ち運べる程度の大きさで、取っ手の横には電子キーが付いており、カードキーと併せて簡単には開かないようになっていた。
ヤスは手早くパスコードを打ち込みカードキーを通す。すると、気の抜けるような音を立てながらケースはゆっくりと開いた。
「試作小型重力弾・・・・・・こんなおぞましいもん良く作ろうと思ったもんだ」
ケースの中には長さ30cmほどの黒い楕円の円柱が一本納められていた。横には四角い電子機器が一緒に納められており、それに付いているダイオードが緑色に点滅している。
この小型の爆弾は、マサがあるところから逃げ出すときついでにと盗み出したものだ。しかしその特性上持て余していたので丁度処分するにはいい機会だ。
正常な動作を行うか、マサは付属のマニュアルを見ながら確認する。
「異常なしと。・・・・・・これでやっと気が楽になるってもんだよ」
「それにこれを売りゃあちっとは生活もましになるだろうしなぁ・・・・・・」
マサの生活は苦しい。酒もタバコも節約してどうにか飯が食える状況だ。
「ったく。あいつらめ・・・・・・こっちが下手に出てりゃ付け上がるからこまったもんだなぁ──っと」
「ん?」
愚痴りながらケースを閉じようとしたとき、しゃがみ込むマサは異変を感じた。
微妙な振動。何事かと顔を上げた次の瞬間、大きな縦揺れがマサを襲う。
滅多に起こらない地震。運悪くもマサが危険物をいじっているときに限ってそれが起きてしまったのだった。
崩れてくるダンボールの山、それは下にいたマサと破壊兵器を押しつぶす。
埋もれる瞬間、轟音とともにヤスの耳に電子音が一回聞こえる。その音が破壊兵器が起動した音だとマサが悟ったとき──
辺りは黒い閃光に飲み込まれた。
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