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本気で挑むダンジョン攻略記
Chapter T:to the beginning
第01話:邂逅
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れに気づいていて尚先程まで紳士として振る舞っていたのだろう。だが、彼の方から切り出してきたからには、もう冗談では済まされない。場合によっては対立もあり得る。最悪のビジョンを思い浮かべたフレイヤを他所に、ラインハルトはさも大したことでは無いという態度で続ける。

「だが、許そう。私は総てを愛している。このような事、些事に過ぎぬ」

 何という傲慢。何という寛大さ。一瞬、そのスケールの大きさにフレイヤが気圧された。

「そう、じゃあ率直に言うわ。私の眷属になりなさい、ラインハルト」

 そして、フレイヤは我慢が効かなくなった。目の前に欲しいものがあって、時間が経つごとにその欲求が増していくのだ。我慢できる筈も無かった。

「断る」

 だが、彼女の望みは叶わない。『黄金』とは不変の存在だ。万物の影響を殆ど受け付けぬからこその『黄金』。それはフレイヤとて変わらない。

「私には目標がある。渇望がある。私は全てを愛している。だが、卿の望みには報いられん」
「…その望みは何かしら」

 まだチャンスはある。その望みを叶えることが出来るならば、もしかしたら――。そう考えての質問だったのだが。


「ダンジョンを制覇する。それが私の目標だ」


『黄金』の望みは、それこそフレイヤが叶えることが出来ないものだった。神であるフレイヤがダンジョンに入る事は出来ない。そして、フレイヤの眷属でありオラリオ最強と謳われるオッタルですら60に届いていない。100層あると言われているダンジョンの先はまだ未知の領域なのだ。
 そして、目の前の男はおそらくファミリアに属していない。そしてこの強さなのだ。むしろ眷属にすれば弱体化する。そうすれば余計に彼の望みは先になる。フレイヤですら完全な手詰まりだった。

「…そう。本当に残念だわ。"今日は"ここまでにしましょう。」
「ああ。それでは失礼する。」

 だが、まだ終わった訳じゃ無い。もし仮に彼がダンジョンを本当に攻略したとしよう。そうすれば彼の目標は達成され、フレイヤの望みを断る理由は無くなるのだから。

「最後に一つ、質問を良いかね」
「…何かしら」
「オッタルという男。彼は何階層まで行ったのかね?」
「…この前、56層まで行ったと聞いているわ」
「情報感謝する。それでは失礼。」

 そうして立ち去って行ったラインハルトの方を、暫くフレイヤは見続けていた。




「(やっべえ...フレイヤさんに目をつけられちゃったよ)」

 オッタル達をそのまま放置はあれだし、ちゃんと送り届けておこうと思ってルサルカの能力で運んだが、運び終わったらそのまま直ぐに帰るつもりだったのだ。だが、何故か大歓迎ムードのフレイヤにあれよあれよと事を運ばれ気づけば酒をご馳走になってい
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