第28話 アルエットが往く
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待ってね……はい、完了」
針と糸を取り出して解れた部分を縫っていき、すぐにぬいぐるみを直してやった。
「ありがとうルインお姉ちゃん…飴玉美味しいね!」
初めて食べる甘味にアルエットはご満悦のようで、ルインは微笑みながら直したぬいぐるみと一緒にアルエットに飴玉をいくつか持たせてやる。
「はい。今日はこれだけ。また明日おいでアルエットちゃん」
「うん!あ、そうだ。ゼロとシエルお姉ちゃんにもお菓子貰いに行こう!!」
「うん、転ばないようにねー」
ルインの部屋を飛び出して次に向かうのはゼロとシエルのいる部屋である。
シエルの部屋に繋がる通路を走ってシエルの部屋に入ると、ゼロとシエルはコーヒーを飲んでいた。
「あら?アルエット。どうしたの?それにその飴玉…」
「ルインお姉ちゃんに貰ったの。ねえ、ゼロ、シエルお姉ちゃん。お菓子って甘いんだね!ゼロとお姉ちゃんも飴玉頂戴!!」
キラキラと瞳を輝かせながらゼロとシエルにも飴玉を要求するアルエットだが、それを聞いたシエルは困り顔だ。
「ごめんなさいアルエット。私、飴玉は持ってないの…ゼロは?」
「持っていない。飴玉はルインが管理しているからな。飴玉が欲しいならルインにまた貰いにいけばいい」
「今日の分はこれだけだって…」
シュンとなるアルエットに何かないかとシエルが辺りを見回した。
ゼロはふと、自分の私物を置いてある棚に目を遣り、棚から一枚の銀紙に包まれた板状の物をアルエットに差し出す。
「アルエット、飴玉の代わりにこれをやろう」
「何これ?」
銀紙に包まれたそれを見つめるアルエットに、ゼロがそれの正体を教える。
「チョコレートと言う甘い菓子だ。エネルギー補給に優れているから購入したんだが、一枚お前にやろう」
食べ物はカロリーが高ければ高い程にレプリロイドの稼働エネルギーになるために購入したのだ。
ゼロは銀紙を剥がすと、アルエットに差し出す。
「ありがとうゼロ!!」
貰ったチョコレートを頬張るアルエット。
ぬいぐるみは汚れたら取れなくなるためゼロが預かり、シエルも微笑ましそうにアルエットを見ながら、棚からクッキーを取り出した。
「アルエット。一緒に食べましょう?あ、ルインも呼んで来ないと」
「あ、私が行ってくる!!」
「その前に口を拭けアルエット。チョコレートが付いているぞ」
「あら、本当だわ」
シエルが屈んでハンカチでアルエットの口元を拭ってやる。
ゼロは預かっていたぬいぐるみをアルエットに渡した。
「シエルお姉ちゃんとゼロって、何だか“夫婦”みたいだね」
「えっ!?」
「夫婦…?」
アルエットがぬいぐるみを受け取りな
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