第3章 リーザス陥落
第78話 ホッホ峡の決戦Z(終)
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アイゼルに向けた。
赤い、燃える様な赤い眼。……血の色よりも、更に赤い。形容が出来ない。ただ、訳がわからない強さが含まれていることは理解できた。
ユーリは、再び眼を瞑ると、直ぐに開き、眼光をアイゼルの眼に叩き込みながら、吠えた。
「……人間を、舐めるな!」
ゴウッ と言う衝撃にも似た何かが、アイゼルの全身を叩いた。言霊だけで、衝撃を発する。……人間とは思えない強さを持った男だった。
その、刹那……、再び 世界が止まった。
「(これ、は………)」
アイゼルも、これは初めてではない。
あのレッドの町ででも、この現象は起きた。
そう、この男を前にした時の現象だ。全てが止まる。時間、そのものが……。
『人間を、侮り、遊んだ結果……だな? アイゼルよ』
「(ッ!!)」
また、あの声が……頭の中に直接響いてきたのだ。目の前の男も、間違いなく止まっていると言うのにも関わらず……、声だけは響いてきている。
『くく………、人間に恐れを成す、か。魔の者が……』
「(……違う!! 私が、恐れるのは、後にも先にも、ただ1人だけだ。……人間等ではない!)」
『ほぅ……』
声だけの存在が、興味があるかの様に喉を鳴らせた。
『お前が、アイゼルが恐れている……と言う者は……』
そして、世界は再び動き出す。
この現象をまた受けたアイゼルはたたらを踏んでしまった。
そして、ユーリの眼は、未だにアイゼルを捉え続けている。
「――……志津香が、世話になった」
ユーリは、再び抜刀術の構えを取り。
「礼、だ。――……今度は、斬る」
明確な殺意がその眼から迸った。
無敵結界がある為に斬られる事は絶対にない。と言える。
だが、アイゼルは、背筋に走る悪寒、それだけが いつまでも拭えなかった。
『くく、人間を侮るなよ?』
「っっ!!」
アイゼルは、再び目を見開いた。
今は、時は止まってない。周囲を見ても全てが動いている。空気の流れや風に煽られ、舞い飛ぶ砂埃。間違いなく動いていると言うのに、あの声が聞こえるのだから。
〜ランス側〜
使徒3人とランス達の戦いは、最早戦いと呼べる様なモノ
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