第3章 リーザス陥落
第78話 ホッホ峡の決戦Ⅶ(終)
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だ。常人であれば、ではない。……《魔人》であっても、間違いなく怯む。その力量が少しでも格下であれば、完全に行動を止めることが出来る程の威力を込めた洗脳の眼光だ。
「……みせて、もらいましょう! そして、みせてあげましょう! 我が最大の洗脳妖術を!!」
血よりも赤い瞳が、ユーリの姿を捉えた。
まるで、それが光線となって、ユーリに迫っていくかの様だ。内包する力は、破壊光線系の魔法など、まるで可愛く見えてしまう程だ。
「ぐ……っ ぁ……」
流石の志津香も、先程まで耐えていた妖術とはレベルが違う為、背中に岩がなかったら倒れてしまいかねない程だった。
アイゼルとユーリや志津香の間を挟む空間が酷く歪む。凹凸の激しい岩石地帯の全てが丸く見えてしまう。
だがユーリは、決してそれを反らせることは無かった。
「(正真正銘の私の全力。……魔人の全力です)……さぁ、見せてみなさい!!」
もう一度、眼を見開いたアイゼル。
そのコンマ数秒の世界で、目の前の男は、ユーリはもう行動を開始していた。
納刀している状態で、剣の柄を強く握り締めたまま、向かっていったのだ。
「(この妖術の中で、動けるとは……!! それも、これは最速の剣術である《抜刀術》。その構えか) ふっ……!」
だが、アイゼルには余裕はある。
そう、勿論《無敵結界》の存在だ。
如何なる攻撃も、魔人には届かない。その理不尽な力故に、魔人には敵わない。とされているのだ。
「煉獄……!」
ユーリは、一寸先までアイゼルに近づいた所で、もう手を伸ばせば届く位置から、妖術の光を間近で見た。
そのユーリの瞳も、赤い。……アイゼルのそれとはまた違う色。なぜかは、判らない。アイゼルは、その眼を見て、強烈な寒気を感じた。故に、咄嗟に距離を取ったのだ。……いや、取らされてしまったのだ。
『斬魔!』
渾身の居合を放ったユーリ。
その一撃は、アイゼルとユーリの間の空間を、斬った。
一瞬、何が起こったのか、判らない。
だが、それよりも驚愕したのは、アイゼルは自らが斬られた感覚に見舞われてしまったことだった。斬られた様子はない、身体も無事、なのに……斬られた。確かに、何かが、斬られた。
何が斬られたのか……、それを理解するのに、時間はかからなかった。
「……貴様、ま、まさか……!!」
全てを理解した時、アイゼルは ユーリをまっすぐに見据えた。
「……オレの煉獄は、《魔》を斬る」
ユーリは、剣を再び収めながら、静かに呟いた。
「それは、お前らが撃ってきたあの黒色破壊光線だろう
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