第3章 リーザス陥落
第78話 ホッホ峡の決戦Z(終)
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? しづか〜〜!
目の前を走る男の子。
これは、大切な思い出の1つ。なにひとつ不自由なかった幸せだった頃の記憶。
受け入れ、全てを忘れたとしたら、この前を走っている。今も、走り続けている彼のことを、忘れることになるのか?
「……ぐ、ぅぅ……」
全てを失ったと思った。
大切な両親と共に、全てを、失ってしまったと思った。
だけど、思い出の中の少年と、また会うことが出来た。本当に、嬉しかった。見えない所で、何度も涙を流した。……一度、流れ出た涙は止まらなかった。
そして、今回の戦争で窮地に落ちたカスタムを、救ってくれた。返しても返しきれない恩がある。……何よりも、ずっと傍にいたい相手。
――それを、忘れたら……楽に、なれる?
燃える様な想い。
魔人の洗脳で、瞳の全てが覆われてしまった状態ででも、その燃える様な情念、深い愛とも言っていい想いが、魔人の洗脳を凌駕した。
「ふざ……けるな……ッ!!」
「……!?」
右足を、少し浮かし……、大地を強く、強く踏みしめた。
そして、右手の人差し指の爪を、自ら噛み、剥いだ。強い痛みが彼女の意識を更に覚醒させる。
「勝てない……から、なんなのよ……っ! 勝てるから、戦う訳、じゃないっ……!!」
「――……っ」
既に、余裕も手加減も殆どない。
屈服させる為に、アイゼルは両眼から妖術を放出し続けていると言うのに、それを跳ね返されてしまったのだ。
「(常人であれば、即座に行動不能に陥るものを……っ)」
だが、この少女は、魔法使いの少女は耐えるだけではなく、完全に跳ね返してしまったのだ。
「まだ………、まだ……(あい、つな、ら……、ぜったいに、あきらめない。……それ、に……)」
志津香は、再び脚を踏みしめた。
「(来て……くれる、から……!!! ぜ、ったい、に……!)ぜ、ったい、に……!!! あきら、めない!!」
その志津香の叫びと共に、アイゼルの眼下の大地が光った。
「……むっ!!」
突如、大地が光ったことに、アイゼルは驚愕した。
洗脳に集中し、それを跳ね返されたことに驚いてしまった為に、周囲の注意が疎かになってしまった様だ。
だが、それでも 目の前の少女の意志が強いとは言え、反撃を出来るだけの余力があるとは思えなかった故に回避が完全に遅れてしまったのだ。
そして、光はアイゼルを包み込んだと同時に、大地と共に、大爆発を起こし、空中へと吹き飛ばしたのだ。
それは、さしの志津香も驚く。朦朧とした意識ででも、はっきりとその光は
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