第3章 リーザス陥落
第78話 ホッホ峡の決戦Z(終)
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―ザ――ッ!!」
触れるほどの至近距離から、志津香は逃れる事なく、四本の火閃を魔人アイゼルの顔に叩きつけた。
「それも無意味ですね」
同時に、アイゼルの肘が、志津香の側頭部に叩き込まれる。脳が左右に揺れ、目眩がひどくなる志津香。
「………っ、ぅ、あっ……!」
泳いだ身体に、アイゼルの剣が閃く。
「………!!」
衝撃で地面に転がるまでに、一息で十六斬。その全ての剣?を防げる訳もなく、志津香は、自らの血と、地面の泥にまみれ、志津香が転がった。
「全てが無駄ですよ。お判りにならないわけでは無いでしょう? 魔人は戦闘において、如何なる傷も負いません。(サテラの反応、そして あの男の力は気になりますが……ね)」
アイゼルは、現在の不安要素が一瞬頭を過ぎったのだが、志津香の力は全て無効化出来ている為に、現時点では特に問題ないと判断した様だ。
「故に、不意を討とうが、至近距離からの魔法であろうが同じ事です」
「炎、の……矢っ!!」
地に転がりながらも、何を言われても、魔法を撃つ事だけは止めなかった。だが、それでもやはりアイゼルは全く小揺るぎさえもしなかった。
「通じないと……判るでしょう? それなのに何故、無駄な攻撃を繰り返されるのですか?」
「………アンタは、判らない、の?」
志津香は、震える脚に懸命に力をいれ、再び立ち上がった。
「まだ……、まだ……、私が、死んでない、からよ……」
「………………」
「諦めろ、といわれて、諦めるくらいなら……、最初から、戦う資格なんか、ない…… 無理だの、無駄だの……、そんなの、誰かが、決める事じゃない……自分で、決める。……そんな、背中を、ずっと、ずっと……見てきた!!」
「…………ッ!」
その燃え上がる様な眼光が、アイゼルの瞳を貫いた。
「そう……ですか。ならば……!」
アイゼルの瞳は、志津香の眼光を受け止め……、逆に妖しげな赤い光を放った。
「ぁ……! せ、せん……のう……っ!!」
それは、噛み合った視線の向こう側からの攻撃。
まるで、頭の中に手を入れられ、無茶苦茶にかき乱される様な感覚が、志津香へと流れ込んだ。
「……さぁ、受け入れた方が、楽になりますよ。受け入れ、諦めた方が……。ふふ、忘れた方が、楽になります。もう、貴女には 勝ち目はないのですから」
「あ、ぐ……! く、……、こ、このっ……!」
志津香の膝が笑った。
目をそらすこともできないのか、足下を踏みしめたまま、身体を震わせて、耐える。
――しづか〜!
その洗脳で、かき乱された時、嘗ての記憶が、頭の中を過ぎった。
――えっへへ〜、こっちだよ〜〜
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